刑訴法一八八条の二第一項は、費用の補償をすべき場合を無罪の判決が確定したときに限り、公訴棄却の判決が確定したときを含まない趣旨である。
刑訴法一八八条の二第一項により費用の補償をすべき場合
刑訴法188条の2第1項,刑訴法336条,刑訴法338条
判旨
刑事訴訟法188条の2第1項に基づく費用補償の対象は、無罪の判決が確定した場合に限定され、公訴棄却の判決が確定した場合は含まれない。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法188条の2第1項にいう「無罪の判決が確定したとき」に、公訴棄却の判決が確定した場合が含まれるか。形式裁判によって訴訟が終了した場合の費用補償の可否が問題となる。
規範
刑事訴訟法188条の2第1項は、国が被告人であった者に費用の補償をすべき場合を「無罪の判決が確定したとき」に限定しており、文言上、公訴棄却の判決が確定したときは含まれないと解すべきである。
重要事実
被告人に対し、公訴棄却の判決が言い渡され、その後当該判決が確定した。これに対し、被告人であった者が刑事訴訟法188条の2第1項に基づき、裁判に要した費用の補償を請求した事案である。
あてはめ
事件番号: 昭和53(し)58 / 裁判年月日: 昭和53年7月18日 / 結論: 棄却
再審請求手続において要した費用は、刑訴法一八八条の二による補償の対象とはならない。
刑事訴訟法188条の2第1項の規定は、国家の誤った公訴提起等によって被告人が負担した経済的損失を補償する制度であるが、その要件は「無罪の判決」に限定されている。公訴棄却は、実体的な有罪・無罪の判断を経ずに訴訟を打ち切る形式裁判であり、実体裁判である無罪判決とは性質を異にする。したがって、法の文言を離れて公訴棄却の場合にまで同条を拡張適用することはできない。
結論
公訴棄却の判決が確定した場合は、刑事訴訟法188条の2第1項に基づく費用補償の対象に含まれない。したがって、本件抗告は棄却される。
実務上の射程
費用補償の要件を厳格に「無罪判決」に限定した判例である。答案上は、公訴棄却や免訴など、無罪以外の形式裁判によって終了した事案において、費用補償の可否が問われた際の否定根拠として活用する。また、本決定は憲法14条違反の主張も退けており、平等権の観点からの類推適用の主張を否定する際にも参照し得る。
事件番号: 昭和34(し)45 / 裁判年月日: 昭和34年9月16日 / 結論: 棄却
第一審で無罪の判決があり、検察官のみが控訴したところ控訴審が第一審判決を破棄し、免訴の判決をした場合には、被告人は上訴費用の補償を請求することはできない。
事件番号: 昭和56(し)66 / 裁判年月日: 昭和56年6月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】即時抗告を棄却する決定に対して異議を申し立てることはできず、これに対する特別抗告は不適法である。また、特別抗告の提起期間は刑訴法433条2項に基づき、告知の日から5日以内と厳格に解される。 第1 事案の概要:申立人は、大阪地方裁判所になされた訴訟費用執行免除の申立てを却下する決定に対し、即時抗告を…
事件番号: 昭和34(し)44 / 裁判年月日: 昭和34年10月29日 / 結論: 棄却
併合罪中一部無罪の場合、本刑に算入された未決勾留日数については未決勾留としては刑事補償の請求はできない。
事件番号: 昭和27(も)2 / 裁判年月日: 昭和28年9月7日 / 結論: 棄却
強姦の手段としての共同暴行の事実のみが暴力行為等処罰に関する法律違反として起訴された事件につき、右強姦の事実は証拠上これを明認し得るけれども、起訴にかかる暴力行為等処罰に関する法律違反の事実は、右強姦行為の手段としてなされた共同暴行の事実であるから、強姦の事実につき、既に告訴の取消があつた以上、強姦罪として公訴を提起し…