本案事件の第一審裁判所に提出された控訴取下書及び訴訟費用執行免除申立書が、同裁判所の職員によつて、控訴取下書は本案事件の記録の存する控訴裁判所に、訴訟費用執行免除申立書は控訴事件が確定してから三〇日以内に第一審裁判所に、それぞれ提出するようにと記載された書面とともに、申立人に返送されたのち、申立人が、裁判所職員の右指示に従つて、控訴取下書を控訴裁判所に、次いで訴訟費用執行免除申立書を第一審裁判所に、それぞれ提出した本件において(判文参照)、法定の期間を経過した訴訟費用執行免除の申立であるとして、これを却下したのは、法令に違反する。
法定の期間を経過した訴訟費用執行免除の申立であるとして却下したことが法令に違反するとされた事例
刑訴法500条,刑訴規則223条の2,刑訴規則295条の2,刑訴規則295条の3
判旨
判決確定前に提出された訴訟費用執行免除の申立てであっても、判決確定を条件とする申立てとして有効であり、受理した裁判所が申立書を返送しても、なお有効に係属し続けていると解すべきである。
問題の所在(論点)
判決確定前に提出された訴訟費用執行免除の申立て(刑訴法181条4項)の有効性、及び裁判所による書面返送が申立ての係属に及ぼす影響が問題となる。
規範
訴訟行為の効力については、形式的確実性、法的安定性、及び迅速性の観点から判断される。判決確定前に提出された訴訟費用執行免除の申立ては、たとえ手続上の瑕疵があったとしても、これら諸原則を害さない限り、判決確定を条件とする申立てとして有効に成立し、裁判所への係属を維持する。
重要事実
申立人は有罪判決後、控訴を取り下げると同時に、記録の送付先でない簡易裁判所へ訴訟費用執行免除を申し立てた。同簡裁は「確定後に提出せよ」と教示して書面を返送した。その後、申立人は判決確定後に改めて申立てを行ったが、裁判所は法定期間(確定から30日)を経過しているとして却下した。
事件番号: 昭和57(し)97 / 裁判年月日: 昭和57年12月14日 / 結論: その他
申立提起期間内にされた異議の申立を右期間経過後にされた不敵法なものとして誤つて棄却決定をした原裁判所は、同決定に対する特別抗告の申立があつたときは、刑訴法四二三条二項により右決定を更正して新たな決定をすべきである。
あてはめ
当初の申立ては、記録が存する管轄裁判所へ直ちに回送されるべき性質のものであった。不適法な時期の申立てであっても、訴訟行為の形式的確実性等を害するものではないため、判決確定を条件とする申立てとして有効である。簡裁による書面の返送は、有効な申立ての効力に影響を与えず、申立事件はなお有効に係属していたといえるため、期間徒過を理由とする却下は誤りである。
結論
判決確定前の申立ても有効であり、係属は維持されていたため、期間徒過を理由とする却下決定は法令違反として取り消されるべきである。
実務上の射程
訴訟手続の安定性を重視しつつ、当事者の申立権を実質的に保障する判断。裁判所の誤った教示や不適切な書類返送によって、当事者が不利益を被ることを防ぐための解釈指針として活用できる。
事件番号: 昭和56(し)66 / 裁判年月日: 昭和56年6月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】即時抗告を棄却する決定に対して異議を申し立てることはできず、これに対する特別抗告は不適法である。また、特別抗告の提起期間は刑訴法433条2項に基づき、告知の日から5日以内と厳格に解される。 第1 事案の概要:申立人は、大阪地方裁判所になされた訴訟費用執行免除の申立てを却下する決定に対し、即時抗告を…
事件番号: 昭和56(す)63 / 裁判年月日: 昭和56年4月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法501条に基づく刑の執行に関する異議の申立ては、刑の言渡しをした確定裁判を対象とすべきであり、抗告棄却決定に対しては許されない。 第1 事案の概要:申立人が、抗告棄却決定を対象として刑訴法501条に基づく申立てを行った事案。 第2 問題の所在(論点):刑訴法501条に基づき、検察官の執行…
事件番号: 昭和54(せ)65 / 裁判年月日: 昭和54年6月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】訴訟費用の執行免除の申立ては、刑事訴訟法500条2項所定の期間内になされる必要があり、かつ、弁護人が代理して申し立てる場合には、被告人からの申立ての委任を要する。 第1 事案の概要:偽造有価証券行使被告事件の被告人に対し、第一審および原審において訴訟費用負担の裁判がなされた。これに対し、弁護人であ…
事件番号: 昭和36(す)239 / 裁判年月日: 昭和36年7月13日 / 結論: 棄却
訴訟費用の負担を命ずる裁判の執行免除の申立期間経過後の申立権回復請求は不適法である。