舞台上で演じられた男女二組のシヨーに照明をあてて公然わいせつの犯行を容易ならしめた所為は、一個の公然わいせつ行為を幇助したものである。
一個の公然わいせつ行為を幇助したとされた事例
刑法62条1項,刑法174条
判旨
従犯に対して刑を科す場合、刑法68条に基づく法律上の減軽を経た処断刑の範囲内で行わなければならず、これを超過して宣告された判決は法令違反として破棄される。
問題の所在(論点)
従犯に対する刑の言渡しにおいて、法律上の減軽(刑法68条)を失念し、正犯の法定刑の範囲内で刑を科した判断の適法性。
規範
従犯(幇助犯)については、刑法62条1項に基づき正犯の刑を減軽する(同法63条)。法律上の減軽をする際、罰金についてはその多額及び過少の2分の1を減ずる(同法68条4号)。裁判所は、この減軽された処断刑の範囲内で刑を宣告しなければならない。
重要事実
被告人はストリップ劇場の照明係として、踊り子らが観客の面前でわいせつな行為(生板ショー)を行う際、その情を知りながらライトを照射して犯行を容易にし、公然わいせつ幇助の罪に問われた。原略式命令は、公然わいせつ罪の法定刑(当時10万円以下の罰金等)をそのまま適用し、被告人を罰金10万円に処した。しかし、本件は幇助犯であり、法律上の減軽が必要な事案であった。
事件番号: 平成11(さ)1 / 裁判年月日: 平成11年9月27日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】売春防止法5条1号違反の罪に対する罰金刑の法定刑は、罰金等臨時措置法2条1項により2万円以下とされているため、これを超える罰金刑を科した略式命令は法令違反であり、破棄を免れない。 第1 事案の概要:被告人は、路上において通行人に対し、売春をする目的で「金は二万円」等と申し向け、公衆の目に触れる方法…
あてはめ
公然わいせつ罪(刑法174条)の罰金の法定刑は10万円以下である。本件被告人は幇助犯であるため、刑法63条および68条4号により、法律上の減軽を施した処断刑の範囲は「5万円以下」となる。それにもかかわらず、原略式命令が加重事由もないのにこれを超過する「罰金10万円」に処したことは、法令に違反し、かつ被告人に不利益な誤りであるといえる。
結論
原略式命令は法令違反により破棄される。被告人を処断刑の範囲内である罰金5万円に処する。
実務上の射程
修正刑(処断刑)の算定プロセスにおける基本的事例。答案上は、従犯の成立を認めた後の「罪数・刑の量定」段階において、必ず刑法63条・68条の適用を検討し、処断刑の範囲内で結論を出す必要があることを示す鏡となる。
事件番号: 昭和47(さ)1 / 裁判年月日: 昭和48年3月30日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】法定刑の上限を超える罰金刑を科した略式命令は、法令に違反し被告人に不利益であるため、非常上告に基づき破棄されるべきである。 第1 事案の概要:被告人が売春防止法違反の事実により略式命令を受けた事案。小樽簡易裁判所は、罰金刑の最高額が1万円である同法5条1号を適用しながら、被告人に対し罰金3万円を科…
事件番号: 昭和57(さ)3 / 裁判年月日: 昭和57年10月29日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】従犯(幇助犯)の処断刑は、正犯の刑を減軽した範囲内でなければならず、法定刑の最高額を超える罰金を科した略式命令は、法令に違反し被告人のため不利益なものとして破棄されるべきである。 第1 事案の概要:被告人は、歯科医師免許のないAに対し、診療用ユニット等を譲り渡して歯科医業を幇助した。歯科医師法29…
事件番号: 昭和57(さ)2 / 裁判年月日: 昭和57年10月29日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】従犯(幇助犯)の処断刑の最高額を定めるにあたり、正犯の法定刑の最高額を刑法68条4号に基づき1/2に減軽した額を超えて科した略式命令は、法令に違反し被告人の不利益になるため破棄されるべきである。 第1 事案の概要:被告人は、歯科医師免許のない者が歯科医業を行っていることを知りながら、歯科診療に必要…