一 廃棄物の処理及び清掃に関する法律一四条一項ただし書にいう「もつぱら再生利用の目的となる産業廃棄物」とは、その物の性質及び技術水準等に照らし再生利用されるのが通常である産業廃棄物をいう。 二 当時、一般に再生利用されることが少なく、通常、専門の廃棄物処理業者に対し有料で処理の委託がなされていた本件自動車の廃タイヤは、たとえ、被告人がこれを再生利用の目的で収集、運搬したとしても、廃棄物の処理及び清掃に関する法律一四条一項ただし書にいう「もつぱら再生利用の目的となる産業廃棄物」にあたらない。
一 廃棄物の処理及び清掃に関する法律一四条一項ただし書にいう「もつぱら再生利用の目的となる産業廃棄物」の意義 二 廃棄物の処理及び清掃に関する法律一四条一項ただし書にいう「もつぱら再生利用の目的となる産業廃棄物」にあたらないとされた事例
廃棄物の処理及び清掃に関する法律14条1項
判旨
廃棄物処理法14条1項ただし書にいう「もっぱら再生利用の目的となる産業廃棄物」とは、運搬者の主観的意図ではなく、その物の性質や技術水準等に照らし、客観的に再生利用されるのが通常であるものをいう。
問題の所在(論点)
産業廃棄物収集運搬業の許可を不要とする廃棄物処理法14条1項ただし書の「もっぱら再生利用の目的となる産業廃棄物」の意義。特に、運搬者の主観的な目的(再生利用の意図)によってその該当性が決まるのか、あるいは客観的な性質によって決まるのかが問題となった。
規範
廃棄物処理法14条1項ただし書の「もっぱら再生利用の目的となる産業廃棄物」とは、当該産業廃棄物の性質、当時のリサイクルに関する技術水準、及び社会経済状況等に照らして、客観的に再生利用されるのが通常であるといえる状態にある産業廃棄物を指す。したがって、特定の収集運搬者が主観的に再生利用の目的を有していたとしても、それだけで同条項の適用を受けるものではない。
重要事実
事件番号: 昭和57(あ)552 / 裁判年月日: 昭和60年2月22日 / 結論: 棄却
一 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令一条九号に掲げる産業廃棄物は、工作物の除去に伴つて生じたコンクリートの破片その他これに類するレンガ片、鉄筋片等の不燃物をいう。 二 家屋等の除去に伴い不要となつたいわゆる廃木材は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令一条九号に掲げる産業廃棄物に当たらない。
被告人は、産業廃棄物収集運搬業の許可を受けずに、自動車の廃タイヤの収集・運搬を行った。被告人は、当該廃タイヤを再生利用する目的で収集・運搬したと主張し、廃棄物処理法14条1項ただし書の「もっぱら再生利用の目的となる産業廃棄物」に該当するため許可は不要であると争った。しかし、本件当時、廃タイヤが一般に再生利用されることは少なく、通常は専門業者に費用を支払って処理を委託する対象であった。
あてはめ
本件自動車の廃タイヤについて検討するに、本件当時の状況下では、廃タイヤが再生利用されることは稀であり、むしろ排出者が有料で処理を委託するのが一般的であった。このような客観的状況に鑑みれば、廃タイヤは、その性質および当時の技術水準等に照らして「再生利用されるのが通常」である物とは認められない。被告人が主観的に再生利用の目的を有していたとしても、客観的な通常の状態が再生利用でない以上、同ただし書には該当しないと評価される。
結論
本件廃タイヤは「もっぱら再生利用の目的となる産業廃棄物」には当たらない。したがって、被告人の行為には収集運搬業の許可が必要であり、無許可での営業は廃棄物処理法違反となる。
実務上の射程
行政法における「許可」の要否を判断する際の解釈指針となる。法の目的(適正な処理の確保)から、行為者の主観ではなく客観的な物の流通実態を重視する判断枠組みを示しており、廃棄物該当性判断全般に応用できる。答案上は、同ただし書の趣旨が「生活環境保全上の支障が少ない物の取引を容易にする点」にあることを踏まえ、規範を定立する際に活用すべきである。
事件番号: 昭和54(あ)1257 / 裁判年月日: 昭和55年11月7日 / 結論: 棄却
産業廃棄物処理業を営む協同組合の業務に関し廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和五一年法律第六八号による改正前のもの)二五条の違反行為をした同組合代表者を処罰するにあたつては、同条のほか同法二九条をも適用すべきである。
事件番号: 昭和56(あ)1320 / 裁判年月日: 昭和57年9月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】廃棄物の処理及び清掃に関する法律における業の許可制等の規定は、憲法22条の職業選択の自由や憲法14条の法の下の平等に反するものではない。 第1 事案の概要:被告人が、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃掃法」)に基づき、許可を受けずに廃棄物処理業を行った等として、同法25条1号、26条2号等…
事件番号: 平成13(あ)817 / 裁判年月日: 平成14年7月15日 / 結論: 棄却
産業廃棄物の中間処分の許可しか受けていない会社の代表者が,当該会社の業務に関し,産業廃棄物約91.1tを産業廃棄物処理施設の斜面に放出し,その上に残土,真砂土を振りかけ,それらを混合し,地固めするなどして,原状に復するのが困難な状態にした行為は,産業廃棄物をもって上記斜面付近の地表及び地中の一部を形成する状態に至らせて…
事件番号: 平成16(あ)1683 / 裁判年月日: 平成18年2月20日 / 結論: 棄却
工場から排出された産業廃棄物を,同工場敷地内に掘られた穴に投入して埋め立てることを前提に,その穴のわきに野積みした行為(判文参照)は,廃棄物の処理及び清掃に関する法律16条違反の罪に当たる。