産業廃棄物の中間処分の許可しか受けていない会社の代表者が,当該会社の業務に関し,産業廃棄物約91.1tを産業廃棄物処理施設の斜面に放出し,その上に残土,真砂土を振りかけ,それらを混合し,地固めするなどして,原状に復するのが困難な状態にした行為は,産業廃棄物をもって上記斜面付近の地表及び地中の一部を形成する状態に至らせて,埋立処分の事業を行ったものであり,廃棄物の処理及び清掃に関する法律14条の2第1項にいう事業の範囲の変更に当たる。
廃棄物の処理及び清掃に関する法律14条の2第1項に違反して事業の範囲を変更し埋立処分の事業を行ったとされた事例
廃棄物の処理及び清掃に関する法律14条の2第1項,廃棄物の処理及び清掃に関する法律(平成9年法律第85号による改正前のもの)25条2号,廃棄物の処理及び清掃に関する法律(平成9年法律第85号による改正前のもの)30条
判旨
産業廃棄物の中間処分の許可しか受けていない業者が、大量の産業廃棄物を地中に埋め込み地表等を形成する状態に至らせた場合、許可外である埋立処分を行ったものとして、事業範囲の変更許可を受けない事業の実施にあたる。
問題の所在(論点)
中間処分の許可のみを有する者が、産業廃棄物を斜面に放出し土砂で覆う行為が、法14条の2第1項にいう「その事業の範囲を変更」した(無許可での埋立処分事業の実施)といえるか。
規範
廃棄物処理法14条の2第1項違反の成否については、現に行われた行為が許可を受けた事業の範囲を逸脱し、別種の処分(埋立処分等)に該当するか否かによって判断される。具体的には、放出された廃棄物の量、及びその設置状態が地表・地中の一部を形成するに至っているかという客観的態様から、実質的に許可外の処分事業を行ったといえるかを決する。
重要事実
産業廃棄物の中間処分(焼却、破砕)の許可を受けていた被告会社の代表取締役Cは、従業員と共謀し、約2週間にわたり24回、計約91.1トンの産業廃棄物を自社施設の斜面に放出した。さらに、その上に残土や真砂土を振りかけて混合・地固めを行い、原状回復が困難な状態にした。
事件番号: 平成17(あ)829 / 裁判年月日: 平成18年1月16日 / 結論: 棄却
廃棄物の処理及び清掃に関する法律(平成15年法律第93号による改正前のもの)25条4号にいう「第12条第3項(中略)の規定に違反して,産業廃棄物の処理を他人に委託した」とは,上記12条3項所定の者に自ら委託する場合以外の,当該処理を目的とするすべての委託行為をいう。
あてはめ
被告人Cが放出した産業廃棄物は約91.1トンという多量に及び、かつ、単に放置しただけでなく残土等と混合・地固めを行うことで、当該斜面の地表および地中の一部を形成する状態に至らせている。この態様は、許可を受けた「中間処分(焼却、破砕)」の範囲を明らかに超え、客観的に「埋立処分」の事業を行ったものと評価される。
結論
被告人Cの行為は、法14条の2第1項に違反して事業の範囲を無許可で変更したものと認められる。
実務上の射程
中間処分業者による「不適切な保管」や「不法投棄」との境界が問題となる場面で、その規模と土地形状への同化度合い(定着性)を重視して「埋立処分」への該当性を認める際の判断枠組みとして活用できる。
事件番号: 平成16(あ)1683 / 裁判年月日: 平成18年2月20日 / 結論: 棄却
工場から排出された産業廃棄物を,同工場敷地内に掘られた穴に投入して埋め立てることを前提に,その穴のわきに野積みした行為(判文参照)は,廃棄物の処理及び清掃に関する法律16条違反の罪に当たる。
事件番号: 昭和54(あ)1257 / 裁判年月日: 昭和55年11月7日 / 結論: 棄却
産業廃棄物処理業を営む協同組合の業務に関し廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和五一年法律第六八号による改正前のもの)二五条の違反行為をした同組合代表者を処罰するにあたつては、同条のほか同法二九条をも適用すべきである。
事件番号: 平成17(あ)1899 / 裁判年月日: 平成18年2月28日 / 結論: 棄却
一般廃棄物収集運搬行の許可を受けた業者が,一般廃棄物たるし尿を含む汚泥と産業廃棄物たる汚泥を混合させた廃棄物を,一般廃棄物と装って市のし尿処理施設の受入口から投入した行為は,その混合物全量について,廃棄物の処理及び清掃に関する法律16条違反の罪に当たる。
事件番号: 昭和56(あ)1320 / 裁判年月日: 昭和57年9月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】廃棄物の処理及び清掃に関する法律における業の許可制等の規定は、憲法22条の職業選択の自由や憲法14条の法の下の平等に反するものではない。 第1 事案の概要:被告人が、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃掃法」)に基づき、許可を受けずに廃棄物処理業を行った等として、同法25条1号、26条2号等…