一般廃棄物収集運搬行の許可を受けた業者が,一般廃棄物たるし尿を含む汚泥と産業廃棄物たる汚泥を混合させた廃棄物を,一般廃棄物と装って市のし尿処理施設の受入口から投入した行為は,その混合物全量について,廃棄物の処理及び清掃に関する法律16条違反の罪に当たる。
一般廃棄物収集運搬業の許可を受けた業者が一般廃棄物たるし尿を含む汚泥と産業廃棄物たる汚泥を混合させた廃棄物を市のし尿処理施設の受入口から投入する行為が廃棄物の処理及び清掃に関する法律16条違反の罪に当たるとされた事例
廃棄物の処理及び清掃に関する法律16条,廃棄物の処理及び清掃に関する法律(平成15年法律第93号による改正前のもの)25条8号
判旨
一般廃棄物以外の搬入が許されない施設に対し、一般廃棄物とし尿・産業廃棄物が混在した汚泥を一般廃棄物と装って投入する行為は、廃棄物処理法16条にいう「みだりに廃棄物を捨て」る行為に該当する。この場合、混合物全量について不法投棄罪が成立する。
問題の所在(論点)
一般廃棄物の処理施設に対し、一般廃棄物と産業廃棄物が混在した廃棄物を一般廃棄物と装って投入する行為が、廃棄物処理法16条(不法投棄罪)にいう「みだりに廃棄物を捨てた」行為に該当するか。また、その罪責の範囲は如何なるか。
規範
廃棄物処理法16条(現25条1項14号)の「みだりに廃棄物を捨て」る行為とは、法が定める処理基準に従わないで廃棄物を排出し、自然環境や公衆衛生の保持に支障を及ぼすおそれのある状態で放置する行為をいう。特に、受入対象が限定された処理施設に対し、虚偽の態様で対象外の廃棄物を混入させて投入する行為は、適正な廃棄物処理プロセスの潜脱であり、不法投棄罪を構成する。
重要事実
廃棄物処理業者Eは、福岡市庁舎の汚水槽(一般廃棄物)と雑排水槽(産業廃棄物)の清掃業務を受注した。本来、一般廃棄物は市のし尿処理施設(本件施設)へ、産業廃棄物は中間処理業者へ運搬すべきところ、Eの従業員らは両者を混合して収集した。その上で、一般廃棄物以外の搬入が許されていない本件施設に対し、一般廃棄物を搬入するように装って、産業廃棄物が混ざった混合物を受入口から投入した。
事件番号: 平成16(あ)1683 / 裁判年月日: 平成18年2月20日 / 結論: 棄却
工場から排出された産業廃棄物を,同工場敷地内に掘られた穴に投入して埋め立てることを前提に,その穴のわきに野積みした行為(判文参照)は,廃棄物の処理及び清掃に関する法律16条違反の罪に当たる。
あてはめ
本件施設は一般廃棄物たるし尿を含む汚泥のみの受入れを前提としており、産業廃棄物の搬入は許されていない。被告人らは、一般廃棄物であると装い、本来搬入すべきでない産業廃棄物を混入させた汚泥を投入した。これは、施設が予定していない不適正な排出態様であり、法の趣旨に照らし「みだりに廃棄物を捨てた」といえる。また、混合された汚泥は不可分な一体として排出されていることから、一部に一般廃棄物が含まれていたとしても、その混合物全量について不法投棄罪の客体となるものと解される。
結論
被告人らの行為は、不法投棄罪(廃棄物処理法16条違反)を構成する。本件混合物全量について、同罪の成立を認めた原判断は正当である。
実務上の射程
適正な処理ルートをバイパスして、受入資格のない施設に廃棄物を投入する「混合投棄」の事例に広く射程が及ぶ。答案では「みだりに」の要件に関し、施設の受入趣旨や管理権者の意思に反する態様での投棄が形式的・実質的に法秩序を乱すことを強調する際に引用すべき判例である。
事件番号: 平成17(あ)829 / 裁判年月日: 平成18年1月16日 / 結論: 棄却
廃棄物の処理及び清掃に関する法律(平成15年法律第93号による改正前のもの)25条4号にいう「第12条第3項(中略)の規定に違反して,産業廃棄物の処理を他人に委託した」とは,上記12条3項所定の者に自ら委託する場合以外の,当該処理を目的とするすべての委託行為をいう。
事件番号: 平成13(あ)817 / 裁判年月日: 平成14年7月15日 / 結論: 棄却
産業廃棄物の中間処分の許可しか受けていない会社の代表者が,当該会社の業務に関し,産業廃棄物約91.1tを産業廃棄物処理施設の斜面に放出し,その上に残土,真砂土を振りかけ,それらを混合し,地固めするなどして,原状に復するのが困難な状態にした行為は,産業廃棄物をもって上記斜面付近の地表及び地中の一部を形成する状態に至らせて…
事件番号: 昭和57(あ)552 / 裁判年月日: 昭和60年2月22日 / 結論: 棄却
一 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令一条九号に掲げる産業廃棄物は、工作物の除去に伴つて生じたコンクリートの破片その他これに類するレンガ片、鉄筋片等の不燃物をいう。 二 家屋等の除去に伴い不要となつたいわゆる廃木材は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令一条九号に掲げる産業廃棄物に当たらない。
事件番号: 昭和54(あ)1257 / 裁判年月日: 昭和55年11月7日 / 結論: 棄却
産業廃棄物処理業を営む協同組合の業務に関し廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和五一年法律第六八号による改正前のもの)二五条の違反行為をした同組合代表者を処罰するにあたつては、同条のほか同法二九条をも適用すべきである。