産業廃棄物処理業を営む協同組合の業務に関し廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和五一年法律第六八号による改正前のもの)二五条の違反行為をした同組合代表者を処罰するにあたつては、同条のほか同法二九条をも適用すべきである。
産業廃棄物処理業を営む協同組合の業務に関し廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和五一年法律第六八号による改正前のもの)二五条の違反行為をした同組合代表者の処罰と同法二九条の適用の要否
廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和51年法律68号による改正前のもの)14条1項,廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和51年法律68号による改正前のもの)25条,廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和51年法律68号による改正前のもの)29条
判旨
両罰規定において、法人(組合)が行政上の許可を受けるべき主体である場合でも、その業務を実際に遂行した役員等は、両罰規定の「行為者」として処罰の対象となる。
問題の所在(論点)
産業廃棄物処理業の許可を受けるべき主体が「組合」である場合、無許可営業という禁止規定に違反した代表理事(自然人)は、両罰規定(法29条)の「行為者」として処罰されるか。
規範
両罰規定(法29条)にいう「行為者を罰する」とは、当該法人の業務に関し、法人が義務を負う禁止規定または命令規定に違反する行為を現実に実行した自然人を処罰することを指す。法人が行政上の許可を受けるべき主体である場合でも、その業務を直接執行した代表者等は、同規定により罰則の適用を受ける。
重要事実
被告人は、A協同組合の代表理事であった。同組合は、産業廃棄物の処理を業として行おうとする際、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和51年改正前)14条1項に基づき、都道府県知事の許可を受ける義務があった。しかし、同組合は許可を受けずに産業廃棄物処理業を行い、被告人はその代表理事として当該業務を執行した。原審は、被告人に対して同法29条(両罰規定)の適用を否定した。
事件番号: 昭和56(あ)1320 / 裁判年月日: 昭和57年9月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】廃棄物の処理及び清掃に関する法律における業の許可制等の規定は、憲法22条の職業選択の自由や憲法14条の法の下の平等に反するものではない。 第1 事案の概要:被告人が、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃掃法」)に基づき、許可を受けずに廃棄物処理業を行った等として、同法25条1号、26条2号等…
あてはめ
本件において、法14条1項に基づく知事の許可を受けるべき主体はA協同組合であり、同項の規定に違反した主体も同組合である。そのため、被告人は罰則(法25条)の直接の対象ではない。しかし、被告人は同組合の代表理事として、組合の業務に関し、現実に無許可営業という違反行為を行っている。したがって、両罰規定(法29条)の「行為者を罰するほか」という文言に基づき、実行行為者である被告人も処罰の対象に含まれると解される。
結論
被告人は法29条(両罰規定)により処罰される。原判決が同条の適用を否定したのは誤りであるが、結論に影響しないため上告を棄却する。
実務上の射程
身分犯や行政上の義務者が法人の場合に、現実に実行行為を担った自然人をいかなる法的根拠で処罰するかという問題(いわゆる「行為者」の解釈)に射程を持つ。答案上は、両罰規定がある場合に、義務主体ではない代表者等の処罰根拠を法条文に即して説明する際に活用する。
事件番号: 平成13(あ)817 / 裁判年月日: 平成14年7月15日 / 結論: 棄却
産業廃棄物の中間処分の許可しか受けていない会社の代表者が,当該会社の業務に関し,産業廃棄物約91.1tを産業廃棄物処理施設の斜面に放出し,その上に残土,真砂土を振りかけ,それらを混合し,地固めするなどして,原状に復するのが困難な状態にした行為は,産業廃棄物をもって上記斜面付近の地表及び地中の一部を形成する状態に至らせて…
事件番号: 平成17(あ)829 / 裁判年月日: 平成18年1月16日 / 結論: 棄却
廃棄物の処理及び清掃に関する法律(平成15年法律第93号による改正前のもの)25条4号にいう「第12条第3項(中略)の規定に違反して,産業廃棄物の処理を他人に委託した」とは,上記12条3項所定の者に自ら委託する場合以外の,当該処理を目的とするすべての委託行為をいう。
事件番号: 平成17(あ)1899 / 裁判年月日: 平成18年2月28日 / 結論: 棄却
一般廃棄物収集運搬行の許可を受けた業者が,一般廃棄物たるし尿を含む汚泥と産業廃棄物たる汚泥を混合させた廃棄物を,一般廃棄物と装って市のし尿処理施設の受入口から投入した行為は,その混合物全量について,廃棄物の処理及び清掃に関する法律16条違反の罪に当たる。