廃棄物の処理及び清掃に関する法律(平成15年法律第93号による改正前のもの)25条4号にいう「第12条第3項(中略)の規定に違反して,産業廃棄物の処理を他人に委託した」とは,上記12条3項所定の者に自ら委託する場合以外の,当該処理を目的とするすべての委託行為をいう。
廃棄物の処理及び清掃に関する法律(平成15年法律第93号による改正前のもの)25条4号にいう「第12条第3項(中略)の規定に違反して,産業廃棄物の処理を他人に委託した」の意義
廃棄物の処理及び清掃に関する法律(平成15年法律第93号による改正前のもの)12条3項, 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(平成15年法律第93号による改正前のもの)25条4号
判旨
廃棄物処理法25条4号(当時)にいう産業廃棄物処理の「委託」とは、法定の許可業者等に自ら委託する場合以外のすべての委託行為を指し、他人を介して再委託させる行為も含まれる。
問題の所在(論点)
産業廃棄物の排出事業者が、収集運搬業者に対して処分業者への再委託を依頼する行為が、廃棄物処理法12条3項(現行12条5項相当)にいう「他人に委託した」に該当するか。
規範
廃棄物処理法12条3項違反の罪(同法25条4号)にいう「産業廃棄物の処理を他人に委託した」とは、法定の許可業者等に自ら委託する場合以外の、当該処理を目的とするすべての委託行為を含む。したがって、受託者自らが処分を行うよう委託する場合のみならず、さらに他の者に処分を行うよう再委託することを委託する場合も含み、その際の再委託先に関する指示の有無を問わない。
重要事実
被告人両名は、産業廃棄物の処分を委託するにあたり、許可を受けた産業廃棄物収集運搬業者に対し、許可を受けた産業廃棄物処分業者のところまで運搬して処分を依頼するように指示した。実際に正規の処分業者によって処分が行われたものの、被告人らが直接処分業者に委託せず、収集運搬業者を介して処分の再委託を依頼した行為が、同法12条3項の委託禁止規定に抵触するかが争点となった。
事件番号: 平成13(あ)817 / 裁判年月日: 平成14年7月15日 / 結論: 棄却
産業廃棄物の中間処分の許可しか受けていない会社の代表者が,当該会社の業務に関し,産業廃棄物約91.1tを産業廃棄物処理施設の斜面に放出し,その上に残土,真砂土を振りかけ,それらを混合し,地固めするなどして,原状に復するのが困難な状態にした行為は,産業廃棄物をもって上記斜面付近の地表及び地中の一部を形成する状態に至らせて…
あてはめ
本件において、被告人らは自ら処分業者と委託契約を締結せず、収集運搬業者に対して処分の再委託を依頼している。これは、法が認めた「自ら法定の業者に委託する」形態以外の委託行為にあたる。たとえ最終的な処分先として正規の業者を指示し、実際にそこで処分がなされたとしても、法が禁止する「中抜きの委託(再委託の委託)」であることに変わりはなく、同条の構成要件に該当すると解される。
結論
被告人らの行為は産業廃棄物の処理を「他人に委託した」ものと認められ、同法12条3項違反の罪が成立する。
実務上の射程
排出事業者が処理業者と直接契約を結ぶ義務(直接契約の原則)を明確にした判例である。答案上では、委託先が許可業者であっても、その業者にさらに別の業者への処分を再委託させる形態(中抜き)をとれば、形式的に処分の委託禁止違反に該当すると論じる際に用いる。実務上も、指示の適正さや実態の適法性を問わず、委託の形式そのものを厳格に解釈する指針となる。
事件番号: 平成17(あ)1899 / 裁判年月日: 平成18年2月28日 / 結論: 棄却
一般廃棄物収集運搬行の許可を受けた業者が,一般廃棄物たるし尿を含む汚泥と産業廃棄物たる汚泥を混合させた廃棄物を,一般廃棄物と装って市のし尿処理施設の受入口から投入した行為は,その混合物全量について,廃棄物の処理及び清掃に関する法律16条違反の罪に当たる。
事件番号: 平成16(あ)1683 / 裁判年月日: 平成18年2月20日 / 結論: 棄却
工場から排出された産業廃棄物を,同工場敷地内に掘られた穴に投入して埋め立てることを前提に,その穴のわきに野積みした行為(判文参照)は,廃棄物の処理及び清掃に関する法律16条違反の罪に当たる。
事件番号: 昭和54(あ)1257 / 裁判年月日: 昭和55年11月7日 / 結論: 棄却
産業廃棄物処理業を営む協同組合の業務に関し廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和五一年法律第六八号による改正前のもの)二五条の違反行為をした同組合代表者を処罰するにあたつては、同条のほか同法二九条をも適用すべきである。
事件番号: 平成19(あ)285 / 裁判年月日: 平成19年11月14日 / 結論: 棄却
甲らが代表取締役等を務める会社の保管する廃棄物につき,乙がその処理を申し入れてきた際,甲らにおいて,乙や実際に処理に当たる者らが,上記廃棄物を不法投棄することを確定的に認識していたわけではないものの,不法投棄に及ぶ可能性を強く認識しながら,それでもやむを得ないと考えて乙にその処理を委託した場合,甲らは,その後乙を介して…