有限会社の業務に関し建設業法(昭和六二年法律第六九号による改正前のもの)四五条一項三号の違反行為をした同会社代表者を処罰するに当たっては、同条のほか同法四八条をも適用すべきである。
有限会社の業務に関し建設業法(昭和六二年法律第六九号による改正前のもの)四五条一項三号の違反行為をした同会社代表者の処罰と同法四八条の適用の要否
建設業法3条1項,建設業法(昭和62年法律69号による改正前のもの)45条1項3号,建設業法(昭和62年法律69号による改正前のもの)48条
判旨
法人の代表者が法人の業務に関し、虚偽の事実に基づいて建設業法上の許可を受けた場合、両罰規定(旧建設業法48条)の「その行為者」として当該代表者を処罰すべきである。
問題の所在(論点)
法人の代表者が法人の業務として違反行為を行った場合に、両罰規定(旧建設業法48条)の「その行為者」として、当該代表者個人を処罰することができるか。
規範
法人の代表者が、法人の業務に関し、法人の名義で行政上の許可を不正に受ける等の違反行為を行った場合、両罰規定にいう「その行為者」とは、現に当該違反行為を行った自然人(代表者等)を指す。したがって、当該自然人は、両罰規定を根拠として、当該罪の行為者として処罰の対象となる。
重要事実
被告人は、有限会社Aの代表取締役であった。被告人は、同社の業務に関し、虚偽の事実に基づいて建設業法3条1項の許可(建設業の許可)を受けた。原判決は、被告人の本件行為に対して同法48条(両罰規定)を適用すべきでないと判断したが、検察側等はこれを不服とした。
事件番号: 昭和54(あ)1257 / 裁判年月日: 昭和55年11月7日 / 結論: 棄却
産業廃棄物処理業を営む協同組合の業務に関し廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和五一年法律第六八号による改正前のもの)二五条の違反行為をした同組合代表者を処罰するにあたつては、同条のほか同法二九条をも適用すべきである。
あてはめ
本件において、虚偽の事実に基づき建設業法上の許可を受けた主体は有限会社Aであるが、被告人は同社の代表取締役として、その業務に関し具体的な違反行為を現に実行している。両罰規定にある「その行為者を罰するほか」という文言は、法人を罰する前提として、実際に手を下した自然人を処罰することを予定している。したがって、被告人は同条の「行為者」に該当し、同法45条1項3号の罪の責任を負うべきである。
結論
被告人は、旧建設業法48条に基づき、同法45条1項3号の罪の行為者として処罰される。原判決が同法48条の適用を否定した点は誤りであるが、結論において破棄を要するほど著しく正義に反するとは認められないため、上告を棄却する。
実務上の射程
法人処罰(両罰規定)における「行為者」の意義を明確にした判例である。行政刑法において、義務主体が法人である場合であっても、現に違反行為を行った自然人を「行為者」として処罰する際の法的根拠(両罰規定の適用)を示す際に活用できる。
事件番号: 昭和58(あ)287 / 裁判年月日: 昭和60年7月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】法人の代表取締役が、法人の業務に関し法人の名義で他人に宅地建物取引業を営ませた場合、両罰規定に基づき、当該代表取締役を処罰規定の直接の「行為者」として処罰すべきである。 第1 事案の概要:A株式会社の代表取締役である被告人は、同社の業務に関し、同社の名義を用いて他人に宅地建物取引業を営ませた。これ…
事件番号: 昭和60(あ)1255 / 裁判年月日: 昭和60年12月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】法人の代表者が法人の業務に関し宅地建物取引業法違反の行為をした場合、両罰規定である同法84条により、当該代表者は同法80条の罪の行為者として処罰される。 第1 事案の概要:宅地建物取引業者であるA株式会社の代表取締役である被告人は、同社の業務に関して、宅地建物取引業法47条1号に規定される重要事項…
事件番号: 昭和59(あ)759 / 裁判年月日: 昭和60年12月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】法人の代表者が、法人の業務に関し無免許で宅地建物取引業を営んだ場合、宅地建物取引業法84条(両罰規定)を適用し、同法79条2号の罪の「行為者」として処罰される。 第1 事案の概要:被告人は、株式会社Aを設立し、同社の代表者として、同社の業務に関し宅地建物取引業法3条1項の免許を受けないで宅地建物取…