刑訴法四三〇条二項にいう「職務執行地」とは、不服のある処分の行われた地をいう。
刑訴法四三〇条二項にいう「職務執行地」の意義
刑訴法430条2項
判旨
刑事訴訟法430条2項にいう「職務執行地」とは、不服のある処分が現に行われた地を指すと解すべきである。したがって、処分の行われた地を管轄しない裁判所に対してなされた準抗告は、管轄違いとして不適法となる。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法430条2項にいう、準抗告の管轄裁判所を決定する基準となる「職務執行地」の意義が問題となる。
規範
刑事訴訟法430条2項に定める「その検察官または司法警察員の職務執行地を管轄する裁判所」における「職務執行地」とは、当該不服申立ての対象となる具体的な処分が行われた場所を指すと解する。
重要事実
本件は、検察官または司法警察員の処分に対し、刑事訴訟法430条に基づき準抗告が申し立てられた事案である。申立人は、処分が行われた場所とは異なる地を管轄する裁判所に対して準抗告を申し立てたが、原決定は管轄権がないことを理由にこれを棄却した。これに対し、申立人が最高裁判所に特別抗告(同法433条)を申し立てたものである。
あてはめ
事件番号: 昭和43(し)100 / 裁判年月日: 昭和44年3月18日 / 結論: 棄却
一 検察官等のした差押に関する処分に対して、刑訴法四三〇条の規定により不服の申立を受けた裁判所は、差押の必要性の有無についても審査することができる。 二 司法警察職員は、事件を検察官に送致した後においては、当該事件につき司法警察職員がした押収に関する処分を取り消しまたは変更する裁判に対して抗告を申し立てることができない…
本件において、準抗告の対象となった処分の具体的な内容は判決文からは不明であるが、法430条2項の「職務執行地」を「処分の行われた地」と解する以上、申立人が選択した裁判所が処分の行われた地を管轄していないのであれば、管轄権は認められない。原決定が本件準抗告を管轄のない裁判所に申し立てられた不適法なものとして棄却した判断は、右規範に照らして相当であると評価される。
結論
本件準抗告は管轄違いであり不適法である。したがって、本件特別抗告を棄却する。
実務上の射程
捜査機関の処分に対する準抗告の管轄を特定するための基本判例である。答案上では、捜査差押えや接見制限等の処分に対して準抗告を検討する際、管轄裁判所を法的に特定する根拠として本趣旨を引用する。特に、捜査機関の所属庁の所在地ではなく、あくまで「処分の実行地」が基準となる点に留意が必要である。
事件番号: 昭和43(し)101 / 裁判年月日: 昭和44年3月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法430条に基づく不服申立てを受けた裁判所は、差押えの必要性の有無についても審査することができる。差押えの必要性は、犯罪の態様や証拠としての価値、被差押者の不利益等を総合考慮し、明らかに必要がないと認められる場合には否定される。 第1 事案の概要:検察官等が行った差押処分に対し、刑事訴訟法…
事件番号: 昭和42(し)78 / 裁判年月日: 昭和44年12月3日 / 結論: 棄却
一 国税犯則取締法二条により収税官吏の請求に基づいて裁判官がした差押等の許可自体に対しては、準抗告その他独立の不服申立は許されない。このように解しても、憲法三二条に違反しない。 二 国税犯則取締法二条により収税官吏がした差押処分に対する不服申立は、行政事件訴訟に定める訴訟の方法によるべきであつて、これにつき刑訴法四三〇…
事件番号: 昭和43(し)91 / 裁判年月日: 昭和44年8月27日 / 結論: 棄却
司法警察員が押収物を被害者に還付した後、当該押収物が他に売却、搬出され、被害者方に存在しなくなつた場合には、当該被害者還付処分の取消を求める準抗告は、実益を欠き、不適法である。
事件番号: 昭和44(し)70 / 裁判年月日: 昭和44年10月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑法上の特別抗告(刑訴法433条)において、違憲主張が実質的な法令違反にすぎない場合や、判例違反の具体的摘示がない場合は、正当な抗告理由にあたらない。 第1 事案の概要:抗告人は、原決定に対し最高裁判所へ特別抗告を申し立てた。抗告の趣旨において憲法違反を主張したが、その内容は実質的に単なる法令違反…