刑訴法一八八条の二、一八八条の六により補償すべき費用のうち、被告人又は弁護人であつた者に対する旅費、日当、宿泊料については、これらの者が公判準備及び公判期日に出頭した時点を、また、弁護人であつた者に対する報酬については、当該各審級の判決宣告の時点を、それぞれ基準として算定すべきである。
刑訴法一八八条の二、一八八条の六により補償すべき費用の算定基準時
刑訴法188条の2,刑訴法188条の6
判旨
無罪判決に伴う刑事補償において、旅費等は出頭時点、弁護人報酬は当該審級の判決宣告時点を基準として算定すべきである。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法188条の2および188条の6に基づき国が補償すべき「費用」の算定にあたり、旅費・日当・宿泊料および弁護人報酬の基準時期をいつと解すべきか。
規範
刑訴法188条の2および188条の6に基づき補償すべき費用の算定基準について、旅費、日当、宿泊料は公判準備及び公判期日に出頭した時点を基準とし、弁護人報酬については当該各審級の判決宣告の時点を基準とする。
重要事実
被告人が無罪判決を受けたことに伴い、刑事訴訟法に基づき、公判に出頭した際の旅費、日当、宿泊料および弁護人に対する報酬等の費用の補償を求めた事案。原審は、旅費等については出頭時、報酬については判決宣告時を基準として算定すべきとしたため、抗告人がこれを不服として特別抗告を申し立てた。
事件番号: 昭和58(し)124 / 裁判年月日: 昭和61年12月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】不起訴となった別罪の逮捕・勾留期間を、無罪となった本罪の刑事補償の対象とするには、実質的に本罪の捜査に利用されたか、またはそれと同視すべき特別の事情があることを要する。両事件に関連性があるだけでは足りず、拘禁期間中に本罪の核心に迫る重要な裏付捜査が行われている必要がある。 第1 事案の概要:申立人…
あてはめ
旅費、日当、宿泊料は、実際に公判準備や公判期日のために出頭という事象が発生した時点の経費を補填する性質を持つ。したがって、これらが出頭した時点を基準に算定されることは、実費弁償的な性格に合致する。他方で、弁護人報酬は、当該審級における弁護活動全体に対する対価としての性質を有することから、その活動の区切りとなる当該審級の判決宣告時点を基準として算定するのが合理的である。
結論
旅費等は出頭時、報酬は判決宣告時を基準とした原審の判断は正当であり、本件抗告を棄却する。
実務上の射程
刑事補償実務において、物価変動や報酬規定の改定があった場合の算定基準時期を明確にした判例である。答案上は、補償額の具体的な算定根拠が問われる場面で、各費用の性質(実費性か活動対価性か)に応じた基準時期の使い分けを示す際に活用できる。
事件番号: 平成1(し)123 / 裁判年月日: 平成3年3月29日 / 結論: 棄却
少年法二三条二項による不処分決定は、非行事実が認められないことを理由とするものであっても、刑事補償法一条一項にいう「無罪の裁判」には当たらない。
事件番号: 昭和55(し)33 / 裁判年月日: 昭和55年5月19日 / 結論: 棄却
刑事補償請求事件についてされた即時抗告棄却決定の謄本が、請求人本人と即時抗告申立代理人との双方に日を異にして送達された場合における特別抗告申立の期間は、請求人本人に送達された日から進行する。
事件番号: 昭和34(し)45 / 裁判年月日: 昭和34年9月16日 / 結論: 棄却
第一審で無罪の判決があり、検察官のみが控訴したところ控訴審が第一審判決を破棄し、免訴の判決をした場合には、被告人は上訴費用の補償を請求することはできない。
事件番号: 昭和58(し)39 / 裁判年月日: 昭和58年9月27日 / 結論: 棄却
刑訴法一八八条の二第一項は、費用の補償をすべき場合を無罪の判決が確定したときに限り、公訴棄却の判決が確定したときを含まない趣旨である。