森林法一九七条にいう産物とは、無機物たると有機物たるとを問わず、森林から産出する一切の物をいい、岩石もこれに含まれる。
森林法一九七条にいう産物の意義
森林法197条,森林法198条,刑法235条
判旨
森林法197条(現202条)の森林窃盗罪にいう「産物」には、無機物たると有機物たるとを問わず、森林から産出する一切の物が含まれ、森林の土地を組成する岩石もこれに該当する。
問題の所在(論点)
森林法における森林窃盗罪(197条)の客体である「産物」に、森林の土地を組成する岩石が含まれるか。特に、無機物が「産物」の概念に含まれるか否かが争点となった。
規範
森林法197条(現202条)にいう「産物」とは、当該条項の趣旨、文言及び沿革を考慮し、無機物か有機物かを問わず、森林から産出する一切の物を指すと解すべきである。したがって、森林内に存在する岩石も同条の「産物」に含まれる。
重要事実
被告人が、森林内に存在し土地を組成していた岩石を窃取したとして森林窃盗罪(当時の森林法197条)で起訴された。弁護人は、大審院時代の判例を根拠に、岩石は森林の土地の組成物であって同条にいう「産物」には含まれないと主張し、原判決の法令解釈の誤りを訴えて上告した。
あてはめ
森林法197条の規定は、森林資源の保護を目的としているところ、その「産物」という文言は、樹木やキノコといった有機的な動植物に限定されるものではない。沿革的にも森林から得られる資源を広く保護する趣旨と解される。本件で問題となった岩石は、森林を構成する一部であり、森林から取り出して利用可能な資源である以上、無機物であっても「森林から産出する一切の物」として同条の客体に該当すると判断される。この結論は、岩石を産物から除外していた大審院判例を変更して導かれるものである。
結論
岩石は森林法197条の「産物」に含まれる。したがって、被告人の行為に同条を適用した原判決の判断は正当であり、上告は棄却される。
実務上の射程
特別刑法である森林窃盗罪の客体に関するリーディングケースである。答案上では、森林窃盗罪の成否が問題となる場面で、岩石や土砂などの無機物が客体に含まれる根拠として「文言・趣旨・沿革」をセットで引用する。なお、本判決は「岩石が産物に含まれないとすれば、より刑の重い刑法上の窃盗罪が成立することになり、被告人に不利益な主張である」との点に言及していることも実務上の留意点である。
事件番号: 昭和26(れ)226 / 裁判年月日: 昭和26年11月15日 / 結論: 棄却
本件における起訴事実である森林窃盗の賍物収受と原判決の認定事実である森林窃盗とは、その基本的事実関係において同一性を失わないものと認められるか、論旨後段の不告不理の違反があるという主張も採ることを得ない。