労働基準法(昭和四七年法律第五七号による改正前のもの)四二条、四五条に基づく労働安全衛生規則(昭和四五年労働省令第二一号による改正前のもの)六三条一項にいう「接触の危険」とは、その危険の発生が労働者の注意力の偏倚、疲労その他の原因による精神的弛緩、作業に対する不馴れ等による場合をも含め、労働者が作業の過程で接触して危害の発生する危険をいい、その危険が熟練した注意深い労働者からみて異常とみられる作業方法により、または、労働者の重大な過失により生じうるものであると否とを問わない。
労働基準法(昭和四七年法律第五七号による改正前のもの)四二条、四五条に基づく労働安全衛生規則(昭和四五年労働省令第二一号による改正前のもの)六三条一項にいう「接触の危険」の意義
労働基準法(昭和47年法律57号による改正前のもの)42条,労働基準法(昭和47年法律57号による改正前のもの)45条,労働安全衛生規則(昭和45年労働省令21号による改正前のもの)63条1項
判旨
労働安全衛生規則上の「接触の危険」とは、労働者の注意力弛緩や作業不慣れ等により危害が発生する場合を含み、熟練者から見て異常な作業方法や重大な過失による場合であっても肯定される。
問題の所在(論点)
労働安全衛生規則63条1項にいう「接触の危険」の意義、とりわけ労働者側に重大な過失や異常な作業方法がある場合に当該危険が否定されるか。
規範
労働安全衛生規則(改正前)63条1項にいう「接触の危険」とは、労働者の注意力の偏倚、疲労その他の原因による精神的弛緩、作業に対する不慣れ等による場合をも含め、労働者が作業の過程で接触して危害の発生する危険を指す。また、その危険が熟練した注意深い労働者からみて異常とみられる作業方法により、または労働者の重大な過失により生じ得るものであるか否かを問わない。
重要事実
被告人が、労働安全衛生規則(昭和45年労働省令第21号による改正前のもの)63条1項に基づき、機械等の稼働部分について労働者に危害を及ぼすおそれのある「接触の危険」を防止すべき義務を負っていた事案。具体的な事故態様や被告人の立場については、判決文からは不明であるが、労働者の作業方法に異常性があったり重大な過失があったりする場合に、なお同条項の「接触の危険」が認められるかが争点となった。
あてはめ
本件における危険の発生が、たとえ労働者の精神的弛緩や作業への不慣れに起因するものであっても、労働者が作業の過程で接触して危害が生じる状況にある以上、それは「接触の危険」に該当する。また、熟練者から見て異常な作業方法や、労働者の重大な過失によって生じる危険であっても、法令が防止しようとする危害の範囲から除外されるものではない。したがって、労働者側の帰責性の有無にかかわらず、客観的に接触して危害が発生し得る状況であれば、同条の義務対象となる危険が存在すると評価される。
結論
労働者側の重大な過失等により生じる危険であっても、作業過程で接触して危害が発生する危険である以上、「接触の危険」に含まれる。
実務上の射程
労働安全衛生法(旧労基法含む)上の事業者の安全配慮義務や危害防止措置義務を検討する際、労働者側の過失を理由に義務を免れようとする抗弁を封じる規範として機能する。過失相殺の議論とは別に、行政的・刑罰的な規制対象としての「危険」を広く解釈する実務上の指針となる。
事件番号: 昭和52(あ)1543 / 裁判年月日: 昭和53年9月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】労働安全衛生規則667条2号ハ(現行の575条1項等に関連)の規定は、憲法31条が要求する刑罰法規の明確性の原則に反するほど不明確なものとはいえない。 第1 事案の概要:被告人が労働安全衛生規則667条2号ハ(当時)の規定に違反したとして起訴された事案において、弁護人は同規定の意義が不明確であり、…
事件番号: 昭和25(れ)1572 / 裁判年月日: 昭和26年2月27日 / 結論: 棄却
労働安全衛生規則第一二四条は、労働基準法第四二条に定められている使用者が機械、器具その他の設備による危害を防止するために講じなければならない必要な措置の具体的内容を明らかにするために同法第四五条の委任により定められた命令であつて、同法第四六条第三項の委任による命令ではないこと所論のとおりである。従つて、規則第一二四条に…