青色申告の承認を受けた法人の代表者がある事業年度において法人税を免れるため逋脱行為をし、その後その事業年度にさかのぼつてその承認を取り消された場合におけるその事業年度の逋脱税額は、青色申告の承認がないものとして計算した法人税法七四条一項二号に規定する法人税額から申告にかかる法人税額を差し引いた額である。
青色申告納税者の逋脱行為と逋脱税額の算定
法人税法127条,法人税法159条
判旨
青色申告の承認を受けた法人の代表者が逋脱行為を行い、後に承認を取り消された場合、逋脱税額は青色申告の承認がないものとして計算されるべきである。
問題の所在(論点)
法人税法上の逋脱犯(同法159条)において、青色申告の承認を受けた者が逋脱行為を行い、後にその承認が遡及的に取り消された場合、逋脱税額の算定根拠となる「正当な税額」は、青色申告の特典を適用して算定すべきか、あるいは承認がないものとして算定すべきか。
規範
青色申告制度は適正な帳簿記録を前提に特典を与えるものであり、所得の隠蔽・仮装による逋脱行為はこの制度の趣旨と根本的に相容れない。したがって、ある事業年度において逋脱行為がなされ、後にその承認が遡及的に取り消された場合、当該事業年度の「逋脱税額」は、青色申告の承認がないものとして(税法上の特典を適用せずに)計算した正当な税額から、申告済みの税額を差し引いた額となる。
重要事実
被告会社Bの代表者Aは、法人税を免れる目的で、現金売上の一部除外、簿外預金の蓄積、棚卸除外等の隠蔽・仮装行為を行い、所得を過少に申告した。その後、当該事業年度に遡って青色申告の承認が取り消された。原審は、逋脱税額の算定にあたり、事後の承認取消は既に申告時に享受した価格変動準備金の損金算入等の特典に影響しないと判断したため、検察官が判例違反を理由に上告した。
事件番号: 昭和49(あ)884 / 裁判年月日: 昭和50年2月20日 / 結論: 破棄差戻
青色申告の承認を受けた者又は法人の代表者がある年又は事業年度において所得税又は法人税を免れるため逋脱行為をし、その後その年又は事業年度にさかのぼつてその承認を取り消された場合におけるその年又は事業年度の逋脱税額は、青色申告の承認がないものとして計算した所得税法一二〇条一項三号に規定する所得税額又は法人税法七四条一項二号…
あてはめ
本件において、被告人らは売上の除外や帳簿の隠蔽といった、青色申告制度の根幹をなす適正な記帳義務に著しく反する行為を行っている。このような逋脱行為をする以上、当該事業年度において青色申告の特典を享受する余地はない。また、行為時において、かかる不正行為により後に承認が取り消されることは当然に認識可能である。したがって、正当な税額の算定において、青色申告に基づく損金算入等の特典を考慮する必要はないといえる。
結論
青色申告の承認がないものとして計算した法人税額から、既申告の税額を差し引いた額を逋脱税額とする。原判決は破棄・差し戻される。
実務上の射程
逋脱税額の算定(客観的構成要件)に関する重要判例。青色申告取消の遡及効が刑罰法規上の「逋脱税額」の確定に直結することを認めた点に射程がある。実務上、被告人側が「申告時点では承認が有効だった」と主張しても、逋脱行為自体が承認の前提を欠くため、特典(準備金や欠損金控除等)を前提とした税額計算は認められないというロジックで使用する。
事件番号: 昭和47(あ)319 / 裁判年月日: 昭和49年10月22日 / 結論: 棄却
法人税法一五九条の逋脱犯の逋脱税額算定にあたり、青色申告の承認を受けた被告会社がその承認に基づいてした貸倒引当金の損金算入等の処理を事後になされた青色申告の承認の取消に基づいて否認した結果生じる所得額の増減を算入すべきである旨の原判示は相当である(昭和四七年(あ)第一三四四号同四九年九月二〇日第二小法廷判決参照)。
事件番号: 平成16(行ヒ)326 / 裁判年月日: 平成18年2月23日 / 結論: 破棄自判
我が国の銀行が,本来は外国法人が負担すべき外国法人税(外国の法令により課される法人税に相当する税)について対価を得て引き受ける取引を行い,同取引に基づいて同銀行が負担した外国法人税が上記対価を上回るため,同取引自体によっては損失を生ずるが,上記外国法人税の負担を自己の外国税額控除の余裕枠を利用して国内で納付すべき法人税…