一 集会、集団行進及び集団示威運動に関する条例(昭和二五年神奈川県条例第六九号)が、三条一項但書において公安委員会が付しうる条件の範囲を具体的に定め、五条において右三条一項但書に基づいて定められた条件に違反した集団行動の主催者等に対して罰則を定めているのは、地方自治法一四条五項の委任の趣旨に反するものではない。 二 集団行動に関する条例に基づいて公安委員会が付した条件の一に違反したとして起訴された被告人は、当該事件において、被告人の行為と事実上及び法律上の関連のない他の条件の違憲性を争う適格を有しない。
一 集会、集団行進及び集団示威運動に関する条例(昭和二五年神奈川県条例第六九号)三条一項但書、五条は地方自治法一四条五項の委任の趣旨に反するか 二 集団行動につき公安委員会が付した条件の違憲性を争う適格
昭和25年神奈川県条例69号(集会、集団行進及び集団示威運動に関する条例)3条1項但書,昭和25年神奈川県条例69号(集会、集団行進及び集団示威運動に関する条例)5条,地方自治14条5項,刑訴法405条1号
判旨
条例が、公安委員会の付した条件に違反する行為を罰則の対象とする場合であっても、条例自体が条件の範囲を具体的に規定し罰則を定めているならば、罰則制定権限の再委任には当たらず、憲法31条に違反しない。
問題の所在(論点)
条例において、行政庁(公安委員会)が付した「条件」への違反を処罰の対象とすることが、法律の委任に基づかない罰則制定権限の再委任にあたり、憲法31条の罪刑法定主義に抵触するか。
規範
条例によって罰則を設ける際、公安委員会等の行政機関が付した条件への違反を構成要件とする場合であっても、(1)条例自体において行政機関が付しうる条件の範囲が具体的に規定されており、かつ(2)その条件に違反した者を処罰する旨を条例自体が規定している場合には、罰則制定権限を白紙的に再委任したものとはいえず、地方自治法14条(現14条3項)の委任の範囲内として、憲法31条の罪刑法定主義に反しない。
事件番号: 昭和46(あ)2187 / 裁判年月日: 昭和50年9月30日 / 結論: 棄却
一 ジグザグ行進やうず巻行進は、集団行動による思想の表現のために不可欠のものではなく、これを禁止しても、憲法上保障される表現の自由を不当に制限することにならない。 二 本件集団行動につき、公安委員会が付した各条件は、個々独立の意味を有し、個々に構成要件を補充しているものであるから、被告人は被告人の本件行為と事実上、法律…
重要事実
神奈川県条例(本条例)は、公安委員会が一定の範囲で付した条件に違反して集会や集団行進を行った主催者等を処罰する規定を置いていた。被告人は、本条例3条1項但書に基づき付された条件に違反したとして起訴されたが、この規定は法律の直接の委任を欠く罰則の再委任であり、憲法31条に違反すると主張して上告した。
あてはめ
本条例は、3条1項但書において公安委員会が付しうる条件の範囲を具体的に限定して規定している。その上で、5条において、右規定に基づき定められた条件に違反した者を処罰する旨を条例自ら規定している。したがって、罰則を定める権限そのものを公安委員会に再委任したものとは評価できず、地方自治法の委任の趣旨(条例による罰則制定権の許容)に合致する。また、被告人と事実上・法律上の関連のない条件の違憲性を争う適格はない。
結論
本条例の罰則規定は再委任にあたらず、憲法31条に違反しない。また、自己に関連のない条件の違憲主張は認められない。
実務上の射程
条例による罰則制定の限界、特に「行政処分(条件)への違反」を処罰する場合の合憲性を論じる際に活用する。判例の論理は「条件の範囲の具体的限定」と「条例自らによる罰則規定」の二点を重視しており、白紙委任を否定する構成として重要である。
事件番号: 昭和56(あ)1719 / 裁判年月日: 昭和59年1月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】東京都公安条例によるデモ行進等の許可制、許可条件の付与、および条件違反に対する罰則規定は、いずれも憲法21条、31条等の諸規定に違反しない。本条例の許可制は実質的に届出制と異ならず、公安委員会の裁量も限定されており、表現の自由の不当な侵害にはあたらない。 第1 事案の概要:被告人らは、東京都公安条…
事件番号: 昭和48(あ)454 / 裁判年月日: 昭和49年5月30日 / 結論: 棄却
一 集会、集団行進及び集団示威運動に関する条例(昭和二五年札幌市条例第四九号)は憲法二一条に違反しない。 二 同条例三条一項但書、五条は憲法三一条に違反しない。
事件番号: 昭和48(あ)2464 / 裁判年月日: 昭和50年12月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】東京都公安条例の許可条件(だ行進の禁止)違反を処罰する規定は、公安委員会に条件の範囲を具体的に規定しているため、罰則の再委任には当たらず、表現の自由の不当な制限にもならない。 第1 事案の概要:被告人らは、東京都公安条例に基づき、公安委員会から「だ行進(蛇行進)」を禁止する等の条件付許可を得て集団…
事件番号: 昭和35(あ)112 / 裁判年月日: 昭和35年7月20日 / 結論: 破棄差戻
昭和二五年東京都条例第四四号集会、集団行進及び集団示威運動に関する条例は憲法第二一条に違反しない。