刑訴法二三五条一項にいう「犯人を知つた日」とは、犯罪行為終了後の日を指すものであり、告訴権者が犯罪の継続中に犯人を知つたとしても、その日を親告罪における告訴の起算日とすることはできない。
刑訴法二三五条一項にいう「犯人を知つた日」の意義
刑訴法235条1項
判旨
親告罪における告訴期間の起算点である「犯人を知った日」(刑訴法235条1項)は、犯罪行為終了後の日を指す。犯罪の継続中に犯人を知ったとしても、その日を告訴期間の起算点とすることはできない。
問題の所在(論点)
犯罪が継続している事案において、刑訴法235条1項の告訴期間の起算点(「犯人を知った日」)を、犯罪行為の終了前(継続中)に求めることができるか。
規範
刑事訴訟法235条1項にいう「犯人を知った日」とは、犯罪行為が終了した後の日を指すと解すべきである。したがって、犯罪が継続している間に告訴権者が犯人を知ったとしても、その時点から告訴期間が進行することはない。
重要事実
被告人両名に対し、親告罪(具体的な罪名は判決文からは不明)の公訴が提起された。弁護人は、告訴権者が犯罪の継続中に既に犯人を知っていたことから、告訴期間の制限(6か月)を超過しており、告訴は無効であると主張して上告した。
事件番号: 昭和37(あ)1976 / 裁判年月日: 昭和39年11月10日 / 結論: 棄却
刑事訴訟法第二三五条第一項にいう「犯人を知つた」とは、犯人が誰であるかを知ることをいい、告訴権者において、犯人の住所氏名など詳細を知る必要はないけれども、少なくとも犯人の何人かたる特定し得る程度に認識することを要するものと解すべきである。
あてはめ
本件において、告訴権者が犯罪の継続中に犯人を知っていた事実は認められる可能性がある。しかし、刑訴法235条1項の趣旨に照らせば、犯罪行為が未だ終了していない段階では、犯罪の全容が確定しておらず、告訴権者に告訴の是非を判断させるのは酷である。そのため、告訴期間のカウントダウンが始まるのは、あくまで「犯罪行為終了後」に犯人を知っている状態にあることを要すると解される。よって、継続中の知得を起算点とする弁護人の主張は採用できない。
結論
犯罪継続中に犯人を知ったとしても、犯罪行為終了後でなければ告訴期間は進行しない。したがって、期間経過による告訴無効の主張は認められず、本件上告は棄却される。
実務上の射程
継続犯や状態犯的な側面を持つ親告罪(著作権法違反や過失傷害の継続的態様など)において、告訴期間の徒過を検討する際の重要な基準となる。実務上、犯罪行為の終了時期を特定することが、告訴期間の適否を判断する前提となるため、公訴事実の終期に留意して答案を構成する必要がある。
事件番号: 昭和26(あ)4839 / 裁判年月日: 昭和29年1月28日 / 結論: 棄却
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昭和28年に団体の著作名義をもって公表された独創性を有する映画の著作物は,平成16年1月1日から施行された著作権法の一部を改正する法律(平成15年法律第85号)による保護期間の延長措置の対象となる同法附則2条所定の「この法律の施行の際現に改正前の著作権法による著作権が存する映画の著作物」に当たらず,その著作権は平成15…
事件番号: 昭和45(あ)193 / 裁判年月日: 昭和46年10月14日 / 結論: 棄却
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