大蔵大臣の免許を得ることなく、自己の営業資金を調達する目的で、自ら講元となつて講を始め、その講員は、人的あるいは地域的関係によらず掛金の支払能力によつて認定したうえ、個別に交渉してこれに加入させ、講員も講元の個人的資力を信頼して他の講員の氏名も知らないままこれに加入し、講員の掛金不払の際には、講元が自らその支払の責を負うことを約している等の場合には、右講は、個別契約による非組合型のものというべきであり、かかる講を反覆継続して、その掛金を受け入れたときは、相互銀行法三条一項、二条一項一号、二三条の罪が成立する。
相互銀行法二三条の罪が成立するとされた事例
相互銀行法3条1項,相互銀行法2条1項1号,相互銀行法23条
判旨
控訴審は、第一審判決のうち控訴がなされなかった部分や控訴が取り下げられた部分については審判権を有しない。これら審理の対象外である罪について併合罪として審判し、刑を科した原判決は、係属していない事件につき審判をした違法があるものとして破棄を免れない。
問題の所在(論点)
第一審で有罪とされた罪について控訴期間の満了や控訴の取下げにより確定している場合、控訴審がこれを含めて併合罪として審判することは許されるか。控訴審の審判範囲(刑事訴訟法上の係属)が問題となる。
規範
控訴審の審判範囲は、控訴の申立てがあった部分およびこれと不可分な関係にある部分に限定される。第一審判決のうち、被告人・検察官双方が控訴せず期間が満了した部分、または適法な控訴取下げにより確定した部分については、控訴審に係属せず、審判権は及ばない。
重要事実
第一審が、被告人Aの所得税法違反(有罪)と相互銀行法違反(無罪)、被告人Bの麻薬取締法違反(有罪)と相互銀行法違反幇助(無罪)について判決した。検察官は無罪部分のみ控訴し、Aは控訴せず、Bは控訴を取り下げた。しかし、控訴審(原審)は第一審判決の全部を破棄し、Aには確定済みの所得税法違反を含めた併合罪として一個の刑を、Bには確定済みの麻薬取締法違反を含めて各罪の刑を言い渡した。
あてはめ
Aについて、所得税法違反の罪は控訴期間満了により確定しており、控訴審には相互銀行法違反の点のみが係属していた。それにもかかわらず原審が両罪を併合罪として一個の刑を科したのは、係属していない事件を審判した違法がある。Bについても、麻薬取締法違反の罪は控訴取下げにより確定しており、原審がこれについて刑を処した部分は同様に違法である。これらの違法は判決に影響を及ぼし、破棄しなければ著しく正義に反するといえる(刑訴法411条1号)。
結論
控訴審が審判権のない確定済みの罪について有罪判決を下した点は違法であり、当該部分は破棄を免れない。Aについては刑が不可分であるため全部破棄・差し戻しとし、Bについては判別可能な麻薬取締法違反に関する刑の部分のみを破棄する。
実務上の射程
一部控訴(刑訴法348条)や控訴の取下げによる審判範囲の限定を明確にした。併合罪の一部のみが控訴された場合、確定した他罪を控訴審で重ねて処断することは「係属」を欠く不意打ち的な審判となり許されないことを示す。答案では、審判対象外の事実を認定・処断した際の「不告不理原則」違反の論述に準じて活用できる。
事件番号: 昭和33(あ)1494 / 裁判年月日: 昭和33年12月25日 / 結論: 棄却
原審は、所論控訴趣意第一点を理由ありと認め、第一審判決の主文と理由との間にくいちがいがあるものとして、同判決全部を破棄し改めて有罪の判決をしたものであり、この場合においては、被告人に対する量刑の点についても、原審独自の判断により相当とする量刑をなすべきものであるから、量刑不当の所論控訴趣意に対しては特にその判断を示す必…