特定の大学の管理に属しないで、一般に大学に在籍する学生に居住の場を提供している施設を利用する学生が、その居住生活に関して行なういわゆる自治活動は、それ自体としては大学の学生として享有する学問の自由と直接関係のないものである。
特定の大学の管理に属しないで大学生一般の居住の用に供せられている施設におけるいわゆる自治活動と憲法二三条
憲法23条
判旨
特定の大学の管理に属さず、一般の学生に居住の場を提供する施設における学生の自治活動は、学問の自由(憲法23条)と直接の関係を持たない。したがって、当該施設における館費引上げ等の措置や自治活動の制限が、直ちに学問の自由や生活権の侵害となることはない。
問題の所在(論点)
特定の大学の管理に属さない外部の学生居住施設における自治活動が、憲法23条の保障する学問の自由と直接の関係を有し、同条による保護の対象となるか。
規範
憲法23条が保障する学問の自由は、学問的研究の自由とその結果の発表の自由を核心とする。これに付随して認められる大学の自治や学生の自治活動であっても、それが大学の管理に属しない一般の学生寮等の居住施設における生活上の自治活動である場合には、学問の自由と直接の関係を有しない。
重要事実
財団法人学徒援護会が運営する東京学生会館において、館費の引上げ等の措置が講じられた。これに対し、入居していた学生らが、当該措置は学生の居住生活に関する自治活動を侵害し、ひいては憲法23条の学問の自由や25条の生活権等に違反するものであると主張して争った事案である。
あてはめ
本件の東京学生会館は、特定の大学の管理に属するものではなく、一般の学生に居住の場を提供する施設に過ぎない。このような施設において学生が居住生活に関して行う自治活動は、大学における研究・教育活動と密接不可分な関係にあるとは認められない。また、館費引上げ等の措置が、健康で文化的な最低限度の生活(憲法25条)を具体的に破壊するような特段の影響を及ぼす事実も認められない。したがって、これらの活動は憲法23条等の保障の範囲外であるといえる。
結論
特定の大学の管理外にある学生寮での自治活動は、憲法23条の学問の自由と直接関係がなく、当該施設における措置が憲法違反となることはない。
実務上の射程
学問の自由の享有主体や大学の自治の範囲を検討する際、「大学の管理」から離れた場所での活動にまで23条の射程が及ぶかを判断する基準となる。東大ポポロ事件判決が示した「学問の自由と直接の関係」という基準を、居住施設における自治活動に適用して限定的に解したものといえる。
事件番号: 昭和28(あ)2710 / 裁判年月日: 昭和30年4月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】大学内で行われた学生運動に伴う建造物侵入等の行為は、学問の自由や大学の自治を理由に当然に違法性が阻却されるものではなく、刑事罰の対象となり得る。 第1 事案の概要:被告人らは、レッドパージによる教授追放に反対する学生運動の一環として、大学の建造物に立ち入り、建造物侵入罪等に問われた。弁護側は、本件…
事件番号: 昭和42(あ)47 / 裁判年月日: 昭和48年3月22日 / 結論: 棄却
一、大学の許可した学生集会であつても、真に学問的研究またはその結果の発表のためのものでなく、実社会の政治的社会的活動にあたる行為をする場合には、大学の有する特別の自由と自治を享有するものではない。 二、併合罪の関係にある甲乙二個の公訴事実のうち甲についてはその一部の事実を認めながら正当行為とし、乙についてはその事実が認…
事件番号: 昭和28(あ)56 / 裁判年月日: 昭和31年10月24日 / 結論: その他
某会社がその従業員一三名に対し解雇通知および同会社への立入禁止の通告をしたのに対し、同会社労働組合側では右解雇通知の当否を調査し、不当なものについては法定の手続によつて救済を求むべく事後の対策を協議中にもかかわらず、右解雇および立入禁止の通告を受けた二名およびこれを関知した同会社従業員でもなく同会社労働組合員でもない一…