相被告人の公判廷における供述は、刑訴法第四三五条第二号にいう「証言」に含まれない。
相被告人の公判廷における供述は刑訴法第四三五条第二号にいう「証言」に含まれるか
刑訴法435条2号
判旨
再審は上訴に属しないため、確定判決に関与した裁判官がその再審請求事件の審理に関与しても、刑事訴訟法20条7号の除斥原因には当たらない。
問題の所在(論点)
確定判決に関与した裁判官が、その事件の再審請求事件の審理に関与することが、刑事訴訟法20条7号に規定する「前審の裁判に関与したとき」に該当し、除斥の原因となるか。
規範
刑事訴訟法20条7号にいう「前審の裁判」とは、上訴により不服を申し立てられた当該事件の裁判を指す。再審は確定判決に対する非常救済手続であって上訴には含まれないため、確定判決に関与した裁判官が再審請求事件に関与することは除斥原因を構成しない。
重要事実
申立人に対する強盗殺人・殺人被告事件の確定判決となった第一審判決に対する控訴を棄却した控訴審の審理に関与した裁判官が、さらに当該事件の再審請求事件の抗告審の審理に関与した。申立人は、これが裁判官の除斥原因(刑訴法20条7号)に抵触し、憲法37条(公平な裁判所の保障)に違反すると主張して特別抗告を申し立てた。
事件番号: 昭和40(し)31 / 裁判年月日: 昭和40年6月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法20条7号にいう「前審の裁判」とは上訴により不服を申し立てられた当該事件の裁判を指し、再審請求は上訴に含まれないため、過去の再審請求事件に関与した裁判官が同一確定判決に対する新たな再審請求事件に関与しても除斥の原因とはならない。 第1 事案の概要:強盗殺人被告事件の確定判決に対し、申立人…
あてはめ
刑事訴訟法20条7号の趣旨は、下級審の判断を維持しようとする予断を排除し、審級制の適正を確保することにある。本件において、当該裁判官は控訴審の審理に関与しているが、その後になされた再審請求は、既に確定した判決を覆そうとする特殊な手続であり、通常の審級制度における上訴には当たらない。したがって、再審請求事件の審理に当該裁判官が関与したとしても、法が予定する「前審の裁判」に関与したものとはいえず、除斥の対象とはならない。また、記録上も当該裁判官が不公正な判断をした事実は認められない。
結論
再審請求事件は前審の裁判には当たらず、当該裁判官の関与は適法である。したがって、憲法37条違反の主張は前提を欠き、本件抗告は棄却されるべきである。
実務上の射程
裁判官の除斥(20条7号)の範囲を画定する重要判例である。答案上では「前審」の定義を「上訴により不服を申し立てられた当該事件の裁判」と定義する際に引用する。再審のみならず、略式命令に対する正式裁判、控訴審後の差し戻し審における原審関与など、他の類類型との比較で、除斥の趣旨(予断の排除と審級制の維持)から論じる際の基礎となる。
事件番号: 昭和34(し)3 / 裁判年月日: 昭和34年2月19日 / 結論: 棄却
再審請求の目手となつた確定判決に関与した裁判官は再審請求事件の裁判に関与することを妨げるものではない。
事件番号: 昭和44(し)7 / 裁判年月日: 昭和47年10月23日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の本案事件(控訴審)を担当した裁判官が、同一事件の再審請求事件の抗告審に関与したとしても、憲法37条1項にいう「公平な裁判所」による裁判を妨げるものではない。 第1 事案の概要:申立人らは監禁・強要事件の被告人であった者であり、その控訴審判決が確定した後に再審請求を行った。本件再審請求事件の…
事件番号: 昭和46(し)57 / 裁判年月日: 昭和46年7月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】共犯者の事件の審理に関与した裁判官が、別の共犯者の事件を担当することは、憲法37条1項が保障する不公平な裁判をするおそれがあるものとはいえず、違憲ではない。 第1 事案の概要:被告人は、自身の事件の審理を担当する裁判官が、以前に当該事件と共犯関係にある他の被告人の事件の審理に関与していたことを理由…
事件番号: 平成18(し)82 / 裁判年月日: 平成18年4月24日 / 結論: 棄却
即時抗告の申立てを受理した裁判所は,刑訴法375条を類推適用してその申立てを自ら棄却することはできない。