商品仲買人の従業者が商品取引所法(昭和四二年法律第九七号による改正前のもの)第九一条第一項に違反する行為をしたときは、その従業者は同法第一六一条第一号、第一六三条によつて処罰される。
商品仲買人の従業者が商品取引所法(昭和四二年法律第九七号による改正前のもの)第九一条第一項に違反する行為をしたときの罰条
商品取引所法(昭和42年法律97号による改正前のもの)91条1項,商品取引所法(昭和42年法律97号による改正前のもの)161条1号,商品取引所法(昭和42年法律97号による改正前のもの)163条
判旨
商品仲買人の従業者が商品取引所法(昭和42年改正前)91条1項に違反した場合、当該従業者は同法161条1号及び163条により処罰される。第一審が163条の適用を示さず原判決がこれを容認した点に法令適用の誤りがあるとしても、判決に影響を及ぼさず正義に反しない限り、破棄自判の対象とはならない。
問題の所在(論点)
商品仲買人の従業員が商品取引所法違反の行為をした際、同法163条の適用を示さずに処罰することが法令適用の誤りにあたるか。また、その誤りが判決に影響を及ぼし、刑訴法411条により破棄すべき事由に該当するか。
規範
商品仲買人の従業員が行った業務上の違法行為については、罰則規定(本件では商品取引所法161条1号)のみならず、従業員を処罰の対象として含む両罰規定等の関連規定(同法163条)を適用して処罰すべきである。また、法令適用の誤りがある場合でも、刑訴法411条に基づき、原判決を破棄しなければ著しく正義に反すると認められない限りは、上告棄却を免れない。
重要事実
商品仲買人の従業員が、商品取引所法(昭和42年法律第97号による改正前のもの)91条1項に違反する行為を行った。第一審判決は、当該従業者に対して同法161条1号を適用したが、従業員を処罰の根拠とする同法163条の適用を示していなかった。原判決はこの第一審判決を認容したため、被告人側が法令適用の誤りを理由に上告した。
事件番号: 昭和40(あ)2894 / 裁判年月日: 昭和42年2月23日 / 結論: 破棄差戻
【結論(判旨の要点)】商品取引所法92条(当時)にいう「預託を受けて、またはその者の計算において占有する物」には、委託証拠金の代用として徴する有価証券(証拠金充用証券)は含まれない。 第1 事案の概要:被告人は商品仲買人株式会社の代表取締役として、顧客らから農産物等の売買取引に関する委託証拠金の代用たる有価証券(株券等…
あてはめ
本件では、従業者が禁止規定に違反した以上、罰則規定である161条1号とともに、従業者を処罰対象とする163条を適用すべきである。したがって、これを示さなかった第一審を認容した原判決には法令適用の誤りがあるといえる。しかし、当該違法は形式的な適用条文の欠落にとどまり、実質的な処罰の妥当性を左右するものではない。ゆえに、判決に影響を及ぼすものではなく、原判決を破棄しなければ著しく正義に反するとまでは認められない。
結論
本件上告を棄却する。法令適用の誤りは認められるが、刑訴法411条を適用して原判決を破棄すべき事由には当たらない。
実務上の射程
特別法違反における両罰規定や処罰対象規定の適用漏れに関する判断を示したものである。実務上、条文適用の形式的な不備があっても、直ちに判決の破棄事由(刑訴法411条)には繋がらないという「判決に影響を及ぼすべき法令の違反」の限定的な解釈を示す際に参照される。
事件番号: 昭和38(あ)1417 / 裁判年月日: 昭和41年7月13日 / 結論: 破棄差戻
商品仲買人が、商品市場における売買取引を受託するにあたり、委託者から担保として徴する委託証拠金の代用たる有価証券(いわゆる委託証拠金充用証券)は、商品取引所法第九二条にいう、商品仲買人が委託者から預託を受けて、又はその者の計算において占有する物には含まれないと解すべきである。
事件番号: 昭和63(あ)453 / 裁判年月日: 平成4年2月18日 / 結論: 棄却
商品先物取引に関して、いわゆる客殺し商法により顧客にことさら損失等を与えるとともに、いわゆる向かい玉を建てることにより顧客の損失に見合う利益を会社に帰属させる意図であるのに、顧客の利益のために受託業務を行うものであるかのように装って、取引の委託方を勧誘し、その旨信用した顧客から委託証拠金名義で現金等の交付を受けた行為(…
事件番号: 昭和48(オ)910 / 裁判年月日: 昭和49年7月19日 / 結論: 棄却
一、商品取引員が商品取引所法九一条一項に違反して営業所以外の場所で取引の委託を受けても、同条項は商品取引員に対する訓示的規定たるにすぎないから、右違反は、受託契約の効力を左右しない。 二、商品取引員が商品取引所法九四条一項一号に違反して不当な委託勧誘をなし、それによつて成立した受託契約であつても、右契約が商品取引に経験…