在監者の上訴申立に関する刑訴法第三六六条第一項は、勾留中の被告人が、判決訂正申立書を差し出す場合に準用される。
刑訴法第三六六条第一項は勾留中の被告人が判決訂正申立書を差し出す場合に準用されるか
刑訴法366条1項,刑訴法415条,刑訴規則267条1項
判旨
判決訂正の申立についても刑事訴訟法366条1項の特則(監獄差し出しの特則)の準用が認められ、申立期間内に拘置所長等に差し出した場合は期間内に申立がなされたものとみなされる。
問題の所在(論点)
判決訂正の申立(刑訴法415条)において、被告人が拘禁されている場合に監獄差し出しの特則(刑訴法366条1項)が準用されるか。
規範
判決訂正の申立(刑訴法415条)についても、上訴の提起期間等に関する刑訴法366条1項の規定を準用するのが相当である。したがって、被告人が拘置所等に拘禁されている場合、申立書を監獄の長等に差し出した時に、法定の申立期間内になされたものとみなすべきである。
重要事実
申立人は、最高裁による上告棄却判決(昭和41年3月22日言渡)に対し、判決訂正の申立を行った。申立人は当時、名古屋拘置所に勾留中であった。申立書は昭和41年3月31日に拘置所長の代理者に差し出されたが、最高裁判所に実際に受理されたのは同年4月2日であった。刑訴法415条2項の定める申立期間(10日)との関係が問題となった。
事件番号: 昭和30(す)198 / 裁判年月日: 昭和30年6月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が刑訴法414条、386条1項3号に基づき上告を棄却した決定に対しては、同法415条に基づく判決の訂正の申立をすることは許されない。 第1 事案の概要:最高裁判所は、刑訴法414条、386条1項3号に基づき、申立人の上告を棄却する決定を下した。これに対し、申立人は当該決定の訂正を求めて申…
あてはめ
申立人が判決訂正の申立書を差し出した3月31日は、判決言い渡しの日から起算して10日の申立期間内である。刑訴法366条1項が準用される結果、裁判所への到達日(4月2日)ではなく、拘置所側への差し出しをもって期間遵守の有無を判断すべきである。本件では期間内に差し出されているため、適法な申立期間内になされたものとみなされる。
結論
判決訂正の申立について刑訴法366条1項の準用を認め、本件申立を期間内になされたものとみなした(ただし、申立理由は認められないため棄却)。
実務上の射程
身辺を拘束されている被告人の不利益を防止する刑訴法366条の趣旨は、上訴だけでなく判決訂正の申立にも妥当することを確認した判例である。期間の計算において重要な指針となる。
事件番号: 昭和26(す)312 / 裁判年月日: 昭和26年9月13日 / 結論: 棄却
然し当裁判所のした上告棄却の決定に対する本件訂正申立はただ被告人の本籍地の表示の訂正を求めるだけであつて、当裁判所の前示裁判の内容に誤のあることを理由とするものでなく、従つて、刑訴四一五条一項の要件を欠くから同四一七条一項に従いこれを棄却する。
事件番号: 昭和29(す)373 / 裁判年月日: 昭和29年10月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】判決に明らかな誤記がある場合であっても、それが判決の結論に影響を及ぼさない軽微な事項であれば、判決訂正の申立は理由がないものとして棄却される。 第1 事案の概要:恐喝被告事件の上告棄却決定に対し、被告人から判決訂正の申立がなされた。訂正を求められた事項は、①原審の判決宣告年月日(昭和28年12月1…
事件番号: 昭和27(み)44 / 裁判年月日: 昭和27年11月25日 / 結論: 棄却
判決訂正申立期間経過後の訂正申立理由書の提出は不適法である。
事件番号: 昭和53(す)183 / 裁判年月日: 昭和53年9月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法414条および386条1項3号に基づき上告を棄却した最高裁判所の決定に対しては、判決の訂正の申立をすることはできない。 第1 事案の概要:被告人が最高裁判所に対し上告を提起したが、最高裁判所は刑訴法414条、386条1項3号(上告趣意書の提出遅延等)に基づき、決定をもって上告を棄却した。…