東京都内においては、普通自動車の最高速度を原則として四〇キロメートル毎時とする規制が東京都公安委員会の設置する道路標識により、なされている事実は、公知の事実に属する。
道路標識による最高速度の規制と公知の事実
刑訴法317条,道路交通法9条2項,道路交通法22条2項,東京都道路交通規則6条
判旨
東京都道路交通規則により普通自動車の最高速度が原則として40キロメートル毎時と定められ、公安委員会の設置する道路標識によって規制が行われている事実は、公知の事実として証拠を要しない。
問題の所在(論点)
道路交通法に基づく具体的な速度規制の存在およびその規制が道路標識によって行われているという事実について、裁判所が証拠によらずに「公知の事実」として認定することができるか。
規範
裁判所が一般に知られている事実(公知の事実)と認める事項については、刑事訴訟においても厳格な証明を要せず、証拠によらずに事実認定の基礎とすることが可能である。
重要事実
被告人が東京都内において普通自動車を運転し、速度超過の事案で起訴された。原審は、東京都公安委員会による最高速度40キロメートル毎時の規制があることを前提に有罪としたが、弁護人は当該規制の存在が証拠によって証明されていないとして、憲法31条(適正手続き)違反を主張して上告した。
あてはめ
東京都内において、東京都道路交通規則により普通自動車の最高速度が原則として40キロメートル毎時と定められていること、および当該規制が東京都公安委員会の設置する道路標識によって現に行われていることは、社会一般に広く知れ渡っている事項といえる。したがって、これらは「公知の事実」に該当し、裁判所がその認定につき必ずしも証拠を要しないと解することは正当である。
結論
道路標識による速度規制の事実は公知の事実であり、証拠に基づかない認定も適法である。したがって、被告人の上告を棄却する。
実務上の射程
刑事訴訟法における『不要証事実』の一つである公知の事実の具体例(法規・公示事項に関連する事実)を示すものである。答案上は、法令の委任に基づく一般的・定型的な行政規制の存在を認定する際の根拠として活用できるが、個別の場所の一時的な規制などについては慎重な検討を要する。
事件番号: 昭和45(あ)1969 / 裁判年月日: 昭和48年2月12日 / 結論: 棄却
一 速度規制を表示する道路標識が、その設置場所および標示板わん曲等の関係上(原判文参照)、通常の運転をする者からは容易にその内容を識別できないときは、その標識はその者に対し適法有効なものといえない。 二 「区域」を指定してする速度規制が適式に行なわれているときは、別異の規制がなされていないかぎり、当該区域内の道路の全部…