進んで出撃しようとしたのではなくても、相手が襲撃してきた際にはこれを迎撃し、相手を共同して殺傷する目的をもつて、兇器を準備し身内の者を集合させたときは、刑法第二〇八条の二第二項の罪が成立する。
刑法第二〇八条の二第二項の罪が成立するには、積極的に自ら進んで他人に害を加える目的のあることを要するか
刑法208条の2第2項
判旨
凶器準備集合罪(刑法208条の2)における「加害の目的」は、相手方の襲撃を予期し、これに迎撃・対抗して殺傷する目的であっても成立する。
問題の所在(論点)
相手方の攻撃を待ち構え、これに反撃・迎撃する目的で凶器を準備して集合した場合に、刑法208条の2第1項(当時の2項)の「加害する目的」が認められるか。
規範
刑法208条の2にいう「加害する目的」とは、他人の生命、身体、財産に対し、共同して危害を加える目的を指す。この目的は、自ら積極的に攻撃を仕掛ける場合に限られず、相手方の襲撃が予期される場合に、これに対抗して迎撃し、共同して殺傷する目的であっても、共同して危害を加える意思がある以上、同罪の目的に該当する。
重要事実
被告人は、対立する相手方が襲撃してくることを予期した。これを受け、襲撃があった際にはこれを迎撃し、相手を共同して殺傷する目的をもって、凶器を準備した上で、身内の者を集合させた。
事件番号: 昭和38(あ)364 / 裁判年月日: 昭和38年7月12日 / 結論: 棄却
原判決が「相手が襲撃して来た際にはこれを迎撃し、相手を共同して殺傷する目的を以て兇器を準備して身内の者とともに集合した」被告人の本件所為を兇器準備集合罪に当るとしたのは正当である。被告人の所為が積極的にいわゆる殴り込みをかけようとしたのではなく相手の襲撃を防ぐためであつたとしても、これを迎撃して相手を殺傷する目的があつ…
あてはめ
被告人の目的は、相手が襲撃してきた際に「迎撃」し、かつ「共同して殺傷する」というものであった。このような迎撃目的であっても、相手方の生命・身体に対して危害を加えるという認識・意欲が含まれている。したがって、凶器を準備して集合する行為に「加害の目的」を認めることができ、同罪の構成要件を充足すると評価される。
結論
相手方の襲撃に際して迎撃・殺傷する目的で集合した行為は、凶器準備集合罪の加害の目的に該当し、同罪が成立する。
実務上の射程
自衛目的を主張する場合であっても、単なる防衛の域を超え、相手の襲撃を奇貨として積極的に加害(迎撃・殺傷)する意思がある場合には、本罪の「加害の目的」が肯定されることを示した。答案上は、単なる防御準備と加害目的の区別を論じる際の根拠として活用できる。
事件番号: 昭和55(あ)1608 / 裁判年月日: 昭和58年6月23日 / 結論: 棄却
一 兇器準備集合罪は、個人の生命、身体又は財産ばかりでなく、公共的な社会生活の平穏をも同様に保護法益とするものである。 二 兇器準備集合罪はいわゆる抽象的危険反であつて、いわゆる迎撃形態の兇器準備集合罪が成立するためには、必ずしも相手方からの襲撃の蓋然性ないし切迫性が客観的状況として存在することは必要でなく、兇器準備集…
事件番号: 昭和56(あ)1004 / 裁判年月日: 昭和56年12月21日 / 結論: 棄却
謀議された計画の内容においては被害者の殺害を一定の事態の発生にかからせていたとしても、そのような殺害計画を遂行しようとする意思が確定的であつたときは、殺人の故意の成立に欠けるところはない。
事件番号: 昭和38(あ)1179 / 裁判年月日: 昭和38年10月31日 / 結論: 棄却
一 原判決認定の事実関係のもとにおいては、被告人の兇器準備集合の所為と暴力行為等処罰ニ関スル法律違反の所為とを併合罪とした原判決の判断は相当である。 二 (原判決の要旨) 兇器準備集合罪は個人の生命、身体、財産をも保護法益としているものであり、また事実関係としては暴力行為等処罰ニ関スル法律第一条違反の行為の予備的段階た…