控訴審において主張判断のない訴訟手続に関する主張は、適法な上告理由とならない。
控訴審において主張判断のない訴訟手続に関する主張を上告理由とすることの適否。
刑訴法405条,刑法180条
判旨
強姦罪等における告訴の有無に関する規定(当時の刑法180条2項)の憲法違反を主張する上告理由は、原審で主張・判断がなかった訴訟手続に関する事項であるため、適法な上告理由とはならない。
問題の所在(論点)
原審で主張も判断もなされなかった訴訟手続(親告罪の告訴の有無に係る規定の違憲性)に関する主張が、適法な上告理由となるか。
規範
上告審において訴訟手続の法令違反を理由に上告を申し立てる場合、原則として原審において主張し、かつ原審の判断を経た事項でなければ、適法な上告理由として認めることはできない。
重要事実
被告人は刑法177条前段(強姦罪)等の罪により起訴され、第一審にて刑法180条2項(当時の告訴不要規定)を適用され処罰された。被告人側は、上告審において初めて、告訴がないにもかかわらず処罰を可能とする同条2項は憲法13条および14条1項に違反し無効である旨を主張した。しかし、この憲法違反の主張は第一審および原審(控訴審)の段階では一度も提示されていなかった。
あてはめ
被告人の主張は、刑法180条2項の適用を是認した原判決が憲法に違反するというものであるが、これは訴訟手続に関する主張に該当する。本件記録によれば、当該主張は「原審で主張も判断もなかつた」事項である。上告審は事後審としての性質を有するため、原審で争点化されなかった訴訟手続上の瑕疵を新たに主張することは、刑事訴訟法の予定する適法な上告理由を構成しない。
結論
本件上告は不適法として棄却される。
実務上の射程
本判決は、刑事訴訟における上告理由の制限(事後審性)を確認したものである。実務上、憲法違反等の重大な主張であっても、それが訴訟手続に関するものである限り、原審までに主張しておく必要があることを示唆している。ただし、刑訴法411条による職権破棄の余地は残されているが、本件ではその事由も認められなかった。
事件番号: 昭和27(あ)5210 / 裁判年月日: 昭和28年3月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴審で主張・判断されていない第一審の訴訟手続違背を上告理由とすることはできず、また、事実誤認を前提とした憲法違反の主張や単なる量刑不当の主張は適法な上告理由に当たらない。 第1 事案の概要:被告人が第一審の判決に対し控訴したが、控訴審判決後、上告審において新たに第一審の訴訟手続に違反がある旨を主…
事件番号: 昭和46(あ)1083 / 裁判年月日: 昭和46年9月23日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴審が被告人の控訴趣意の一部に判断を示さなかったとしても、第一審において弁護権が実質的に保障されており、被告人の権利が害されていない場合には、判決を破棄しなければ著しく正義に反するとまでは認められない。 第1 事案の概要:被告人が強姦および恐喝未遂で起訴された事案。第一審の第一回公判において、当…