一 法人税法第四八条第一項の逋脱罪は納期の経過により既遂となる。 二 法人税法第四八条第一項の逋脱罪成立後に修正申告をしてこれによる増加税額を納付しても逋脱罪の成立を妨げない。 三 同一の行為について法人税法第四三条の二の重加算税のほかに刑罰を科しても憲法第三九条後段に違反しない。
一 法人税法第四八条第一項の逋脱罪の既遂時期。 二 法人税法第四八条第一項の逋脱罪の成立と修正申告の効果。 三 法人税法第四三条の二の重加算税のほかに刑罰を科することは、憲法第三九条後段に違反するか。
法人税法48条,法人税法24条,法人税法43条の2,憲法39条
判旨
同一の行為に対し重加算税を課した上でさらに刑罰を科すことは、憲法39条が禁止する二重の処罰には当たらない。
問題の所在(論点)
同一の行為について、行政上の制裁である重加算税が課された後に、刑事罰を科すことが、憲法39条(二重処罰の禁止)に違反するか。
規範
憲法39条が禁止する「二重の処罰」とは、同一の犯罪について重ねて刑事責任を問うことを指す。行政上の制裁である加算税(重加算税を含む)と、刑事罰としての刑罰は、その目的、性質、手続を異にするものであるため、これらを併科したとしても同条に違反するものではない。
重要事実
被告人は、租税法違反等の罪に問われ刑事訴追を受けた。これに対し被告人側は、既に同一の行為を理由として重加算税を課されており、その上でさらに刑罰を科すことは、憲法39条が禁ずる二重の処罰にあたり違憲である旨を主張して上告した。
あてはめ
最高裁判所大法廷判決(昭和33年4月30日)の趣旨によれば、加算税のような行政上の制裁と刑事罰は、目的・法的性格が異なる。本件においても、重加算税は適正な申告を確保する等の行政目的で課されるものであり、刑事罰とは性質を異にする。したがって、両者を同一の行為に対して併用したとしても、憲法39条が禁ずる二重の処罰には該当しないと評価される。
結論
同一行為に対し、重加算税の外に刑罰を科しても、憲法39条に違反しない。
実務上の射程
行政罰(過料等)や行政上の制裁(加算税等)と刑事罰の併科が問題となる事案全般における「二重処罰」の判断枠組みとして活用できる。刑事手続と行政手続の峻別を前提とする実務上の確立した法理である。
事件番号: 昭和32(あ)1659 / 裁判年月日: 昭和36年5月2日 / 結論: 棄却
法人税法(昭和二六年法律第二七四号による改正以後のもの)第四三条の加算税のほかに刑罰たる罰金を科しても、憲法第三九条後段に違反しない。