法人税法(昭和二六年法律第二七四号による改正以後のもの)第四三条の加算税のほかに刑罰たる罰金を科しても、憲法第三九条後段に違反しない。
法人税法(昭和二六年法律第二七四号による改正以後のもの)第四三条の加算税のほかに刑罰たる罰金を科することは、憲法第三九条後段に違反するか。
憲法39条,法人税法(昭和26年法律274号による改正後のもの)43条,法人税法(昭和26年法律274号による改正後のもの)48条
判旨
行政上の措置である追徴税を課した上で、刑罰である罰金刑を併科することは、二重処罰を禁止した憲法39条に違反しない。
問題の所在(論点)
行政上の制裁である追徴税を課された者に対し、同一の脱税事実について重ねて刑事罰(罰金刑)を科すことが、憲法39条の禁止する二重処罰に該当するか。
規範
憲法39条が禁ずる「二重処罰」とは、刑事裁判の手続による刑罰の二重の科与を指す。行政上の措置として課される不利益処分は刑罰には当たらないため、これと刑事罰を併科しても同条には違反しない。
重要事実
被告人は法人税を免れたことにより、当時の法人税法43条に基づき行政上の制裁として追徴税を課された。さらに、同法48条1項に規定される逋脱犯として刑事訴追を受け、罰金刑に処せられたため、これが憲法39条に違反する二重処罰に当たるとして争われた。
あてはめ
法人税法に基づき課される追徴税は、税務上の義務違反に対する行政上の措置にすぎず、刑事上の刑罰としての性質を有するものではない。したがって、同一の事由に基づき、後に刑事罰である罰金刑を科したとしても、同一の犯罪について重ねて刑事上の責任を問うものとはいえず、二重処罰には当たらないと評価される。
結論
追徴税と罰金刑の併科は憲法39条に違反しないため、被告人を罰金刑に処した原判決は正当である。
実務上の射程
行政上の制裁(過料、加算税、反則金等)と刑事罰の併科の合憲性を論ずる際のリーディングケースである。答案では、処分の法的性質が「刑事罰」に該当するか否かを検討し、行政上の措置であれば二重処罰の問題を生じないとする論理構成で用いる。
事件番号: 昭和42(あ)988 / 裁判年月日: 昭和43年3月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】重加算税は行政上の措置であり、これと本来の刑罰を併科したとしても憲法39条後段の禁止する二重処罰には該当しない。 第1 事案の概要:被告人は法人税の逋脱(脱税)行為を行い、これに対して国税通則法68条に基づき重加算税が賦課された。その後、被告人は旧法人税法48条1項等の規定に基づき、同一の逋脱行為…