第二審判決宣告後起訴状が紛失した場合に、第一審判決謄本、右第二審判決謄本および第一審担当検察官の証明書並びに右検察官および第一審判決に関与した裁判官の各証言によつて、公訴提起のあつたことおよびその犯罪事実は第一審判決認定事実と同一であつたことを認定し、適法な公訴の提起があつたものと認めることは違法でない
起訴状が紛失していても適法な公訴提起があつたものと認めた事例
旧刑訴法290条,旧刑訴法291条,新刑訴法256条
判旨
起訴状が滅失した場合であっても、公訴提起の事実が他の記録等により客観的に確認できるのであれば、適法な公訴の提起があったものと認められる。
問題の所在(論点)
起訴状が滅失した場合に、適法な公訴の提起があったと認めることができるか。刑事訴訟法256条1項の「起訴状の提出」という要件の充足性が問題となる。
規範
公訴の提起は、起訴状の提出という書面による方式を原則とするが(刑事訴訟法256条1項)、起訴状という文書自体が滅失した場合であっても、その存在および内容が他の証拠や記録等によって客観的に認定できる限り、公訴提起の効力は失われず、適法な訴訟継続を認めることができる。
重要事実
本件において、検察官が公訴を提起したが、その後に起訴状が滅失するという事態が生じた。弁護人は、起訴状が滅失している以上、適法な公訴の提起があったとはいえないと主張して上告した。原審は、起訴状が滅失していても、適法な公訴の提起があったものと判断していた。
あてはめ
本件では、物理的な起訴状は存在しないものの、原審において判示された諸般の事情(判決文からは詳細な証拠関係は不明であるが、他の訴訟記録等に基づくものと解される)に基づき、公訴提起の事実が肯定されている。最高裁もこの原審の判断を正当として是認し、起訴状の滅失という形式的不備があったとしても、実質的に公訴提起の手続が完了していることが確認できる以上、訴訟条件は具備されていると判断した。
結論
起訴状が滅失していても、公訴提起の事実が認められる場合には、適法な公訴の提起があったものと解される。
実務上の射程
訴訟記録の滅失という例外的な事態における救済法理を示すものである。答案上は、書面主義の例外として、公訴提起の効力を実質的に判断する際の根拠として活用できるが、手続の明確性の観点からは慎重な適用が求められる。
事件番号: 昭和23(れ)1738 / 裁判年月日: 昭和27年12月25日 / 結論: 破棄差戻
一定の時に被害者に脳出血による何らかの身体的症状の生じたことを前提として被害者の受傷と死亡との時間的間隔を判定した場合に、右身体的症状を生じたことを認定するための証拠が明らかにその証拠の趣旨と矛盾し、かつ他にこれを認定するにたる証拠のない判決には理由不備の違法がある。