原判決をした大法廷を構成する裁判官が退官したため、右大法廷判決に対する判決訂正の申立について裁判しようとする時において、その定足数を欠くときは、新たに任命された裁判官を加えた大法廷で右訂正申立についての裁判をなすべきである。
原判決をした大法廷を構成する裁判官の退官による定足数の不足とその判決に対する訂正申立についての裁判をなすべき裁判所の構成。
刑訴法415条,刑訴法416条,刑訴規則270条,最高裁判所裁判事務処理規則7条
判旨
判決中の「原審が確定した事実」という文言は、控訴棄却の事案においては、控訴審が自ら事実を認定したことを指すのではなく、控訴審が是認した第一審判決の確定事実を指すと解すべきである。
問題の所在(論点)
控訴審が控訴を棄却した場合の上告審判決において、「原審が確定した事実」という表現を用いることが、判決の内容に誤り(刑訴法417条1項)があるといえるか。特に「原審」という言葉が指す対象が問題となる。
規範
刑事訴訟法417条1項に基づく判決訂正の申立が認められるためには、判決の内容に誤りがあることを要する。控訴棄却判決に対する上告審判決において「原審が確定した事実」と記載された場合、その文言の意義は、判決の前後の文脈に照らし、実質的にどの審級の事実認定を指しているかによって判断される。
重要事実
被告人が控訴棄却判決(第二審)を受け、それに対し上告した事案である。最高裁判所は上告審判決において「本件につき原審が確定した事実によれば……」との表現を用いた。これに対し、被告人側は「原審(第二審)は自ら事実を確定していないのに、最高裁が『原審が確定した事実』と記したのは判決内容に誤りがある」として、刑訴法417条1項に基づき判決の訂正を申し立てた。
事件番号: 昭和33(み)23 / 裁判年月日: 昭和33年7月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所は、判決の内容に誤りがないと認める場合には、刑事訴訟法417条1項に基づき判決訂正の申立を棄却する。 第1 事案の概要:申立人は、最高裁判所が下した判決について、その内容に誤りがあるとして判決訂正の申立を行った。申立の具体的理由は判決文末尾に添付されている(詳細は判決文からは不明)。 第…
あてはめ
本件第二審判決は、被告人の控訴を棄却したものである。この場合、事実認定の主体は第一審であり、第二審はその認定を是認したにとどまる。最高裁判決の「原審が確定した事実によれば」との記載は、前後の文脈に徴すれば、「第二審たる原審が自ら事実を確定した」という意味ではなく、「第二審判決が是認した第一審判決の確定した事実」を指していることは明らかである。したがって、表現上の形式的な不備はあっても、判決の内容自体に誤りがあるとは認められない。
結論
本件判決の内容に誤りは発見されないため、刑訴法417条1項により本件訂正申立を棄却する。
実務上の射程
本決定は、判決訂正の対象となる「誤り」が極めて厳格に解されていることを示す。実務上、上告審が用いる「原審」という用語は、必ずしも直近の下級審の独自の活動のみを指すのではなく、その審級が維持した事実関係を含めた一連の判断プロセスを指すものと理解すべきである。答案作成上は、判決訂正の要件検討において、用語の多義性や文脈解釈による補正の可能性を示唆する際の参考となる。
事件番号: 昭和38(み)32 / 裁判年月日: 昭和38年11月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法417条1項に基づく判決訂正の申立において、上告棄却の判決に誤りがあるとは認められない場合には、申立を棄却すべきである。 第1 事案の概要:被告人A(爆発物取締罰則違反、殺人等)および被告人B(脅迫、殺人幇助等)に対し、最高裁判所は昭和38年10月17日に上告棄却の判決を言い渡した。これ…
事件番号: 昭和30(す)47 / 裁判年月日: 昭和30年2月23日 / 結論: 棄却
刑訴第四一四条、第三八六条第一項第三号により上告を棄却した最高裁判所の決定に対しては、同第四一四条、第三八六条第二項により異義の申立をすることができるが、訂正の申立をすることは許されない。
事件番号: 昭和29(す)373 / 裁判年月日: 昭和29年10月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】判決に明らかな誤記がある場合であっても、それが判決の結論に影響を及ぼさない軽微な事項であれば、判決訂正の申立は理由がないものとして棄却される。 第1 事案の概要:恐喝被告事件の上告棄却決定に対し、被告人から判決訂正の申立がなされた。訂正を求められた事項は、①原審の判決宣告年月日(昭和28年12月1…
事件番号: 昭和30(す)198 / 裁判年月日: 昭和30年6月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が刑訴法414条、386条1項3号に基づき上告を棄却した決定に対しては、同法415条に基づく判決の訂正の申立をすることは許されない。 第1 事案の概要:最高裁判所は、刑訴法414条、386条1項3号に基づき、申立人の上告を棄却する決定を下した。これに対し、申立人は当該決定の訂正を求めて申…