上告棄却決定に対する異議申立が、単に被告人の住居の記載の訂正を求めるもので、裁判の内容に誤があることを理由とするものでないときは、その申立は不適法である。
被告人の住居の記載の誤を理由とする上告棄却決定に対する異議申立の適否
刑訴法385条2項,刑訴法386条2項,刑訴法428条2項
判旨
上告棄却の決定に対する異議の申立について、裁判の内容の誤りを理由としない申立は不適法である。
問題の所在(論点)
上告棄却決定に対する異議申立において、裁判の内容の誤りではなく「被告人の住居の記載の訂正」を求める申立は適法か。
規範
最高裁判所の決定に対する異議の申立(刑訴法415条類推等)が適法となるためには、裁判の内容に誤りがあることを理由とするものでなければならない。単なる付随的事項の訂正を求めるものは、裁判の内容の是非を争う性質のものではないため、不適法である。
重要事実
麻薬取締法違反被告事件について、最高裁判所が上告棄却の決定を下した。これに対し申立人が異議を申し立てたが、その理由の第一点は、被告人の住居の記載の訂正を求めるものであった。
あてはめ
事件番号: 昭和28(す)170 / 裁判年月日: 昭和28年4月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が刑訴法414条、386条1項3号に基づき上告を棄却した決定に対しては、異議の申立てをすることはできない。本判決は過去の大法廷決定を維持し、当該申立てを不適法として棄却した。 第1 事案の概要:被告人Aが提起した上告に対し、最高裁判所はその上告趣意が刑事訴訟法405条各号の事由に該当しな…
本件申立理由の第一点は、単に被告人の住居の記載の訂正を求めるにすぎない。これは、裁判の判断内容自体に誤りがあることを主張するものではない。したがって、裁判の内容を是正するための手続としての異議申立の趣旨にそぐわず、不適法な申立であると評価される。
結論
本件異議申立は不適法であり、棄却される。
実務上の射程
最高裁の決定に対する異議申立の対象が「裁判の内容」に限定されることを示唆する。実務上、氏名や住居等の誤記については、更正の申立等の別手続を検討すべきであり、判決の効力を争う異議申立の枠組みには馴染まないことを示す判断材料となる。
事件番号: 昭和27(す)502 / 裁判年月日: 昭和28年1月21日 / 結論: 棄却
たゞ被告人の住居の表示の訂正を求めるだけであつて、当裁判所の前示裁判の内容に誤のあることを理由とするものでないときは刑訴四一五条一項の用件を欠く。
事件番号: 昭和26(み)4 / 裁判年月日: 昭和26年5月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判官の忌避の申立ては、申立理由が不適法であるか、または忌避の原因となるべき事実の具体的疎明がない場合には、直ちに棄却されるべきである。 第1 事案の概要:本件は、裁判官の忌避を申し立てた事件であるが、提供された判決文には、申立人が主張した具体的な忌避事由の内容や、下級審の判断過程、事件の背景とな…
事件番号: 昭和32(す)390 / 裁判年月日: 昭和32年5月29日 / 結論: 棄却
上告棄却決定の謄本が、本人と弁護人との双方に日を異にし本人に先に送達された場合における異議申立の期間は、本人に送達された日から起算すべきである。
事件番号: 昭和44(す)313 / 裁判年月日: 昭和45年1月29日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】上告棄却の決定においてなされた未決勾留日数の本刑算入に関する判断に誤りがある場合、検察官の異議申立てにより、当該算入部分および根拠法条の記載を削除する更正を行うことができる。 第1 事案の概要:麻薬取締法違反被告事件について、最高裁判所が昭和44年12月24日に上告棄却の決定を下した。その際、主文…