鉱業法第一九一条第二項の過失侵掘罪と同条第一項第一号の鉱業権または租鉱権によらない掘採の罪とは併合罪となる。
鉱業法第一九一条第二項の過失侵掘罪と同条第一項第一号の不法掘採の罪との罪数。
鉱業法7条,鉱業法191条,刑法45条
判旨
裁判官が追起訴前の公判審理において追起訴事件の内容に関する知識を得たとしても、その一事をもって直ちに除斥事由に該当したり、不公平な裁判をするおそれがあるとして忌避事由に該当したりすることはない。
問題の所在(論点)
裁判官が、同一被告人に対する先行事件の審理を通じて、後に追起訴される事件の内容をあらかじめ知るに至った場合、当該裁判官による審理は憲法37条1項の「公平な裁判所」による裁判に反するか。また、これが除斥・忌避事由に該当するか。
規範
刑事訴訟法20条各号に掲げられた除斥事由に該当しない限り、裁判官が公判審理の過程で追起訴事件の内容について予備的知識を得たとしても、職務執行から当然に除斥されるものではない。また、不公平な裁判をするおそれ(刑訴法21条1項)があるか否かは客観的な事情に基づき慎重に判断されるべきであり、単に追起訴前の審理で当該事件の知識を得たという一事をもって、直ちに「不公平な裁判をする虞」があるとは認められない。
重要事実
被告人は盗掘の公訴事実について審理を受けていたところ、第一審の第四回公判期日において、検察官が被告人の無認可採掘や契約鉱区外への侵掘に関する意見を開陳した。その後、同内容について過失侵掘事件としての追起訴がなされた。弁護人は、第一審裁判官が追起訴前にその内容を予習した形となり予断を抱いたのであるから、憲法37条1項の「公平な裁判所」に違反すると主張して上告した。
あてはめ
本件において、第一審裁判官は先行する盗掘事件の公判審理を通じて、後に追起訴される過失侵掘事件の内容を知るに至った。しかし、刑訴法20条各号には、このような「審理の過程で得た知識」を理由とする除斥規定は存在しない。また、職務上不可避的に得た知識によって直ちに不公平な裁判がなされると断定することはできず、本件では忌避の申立てもなされていない。したがって、除斥事由も忌避理由も認められない以上、憲法37条1項にいう「公平な裁判所」でないということはできない。
結論
裁判官が追起訴前にその内容を知ったとしても、直ちに除斥・忌避事由にはならず、憲法37条1項に違反しない。
実務上の射程
裁判官の予断排除原則(刑訴法256条6項等)との関係で問題となるが、判例は「職務執行の過程で得た知識」については除斥・忌避の対象として極めて限定的に解している。答案上は、公平な裁判所の意義を論じる際、抽象的な危惧だけでなく、具体的・客観的な不公平の恐れが必要であることの根拠として引用できる。
事件番号: 昭和28(あ)2392 / 裁判年月日: 昭和28年10月6日 / 結論: 棄却
共同被告人として起訴された共犯者らと被告人との弁論が分離された結果、判決裁判所の裁判官が、右共犯者らの公判審理により、被告人に対する公判審理の開始前に被告事件の内容に関し、予め知識を有していたからといつて、その裁判官のした審理判決が憲法第三七条第一項にいわゆる「公平な裁判所の裁判」でないということはできない。