森林法第一九七条に定める森林窃盗罪についても、いわゆる親族相盗の関係を定めた刑法第二四四条が適用される。
森林窃盗と刑法第二四四条
森林法197条,刑法244条,刑法235条
判旨
特別法に定める窃盗罪であっても、格段の定めがない限り、刑法244条の親族相盗例の規定が適用される。また、森林法197条の森林窃盗罪において、法定刑が刑法上の窃盗罪より軽く定められていることは、同条の適用を否定する理由にはならない。
問題の所在(論点)
森林法上の森林窃盗罪(特別法の窃盗罪)に対して、刑法244条の親族相盗例が適用されるか。また、森林窃盗罪が刑法上の窃盗罪より法定刑が軽いことは、その適用を否定する理由になるか。
規範
刑法244条にいう「二百三十五条ノ罪」とは「窃盗罪」を指すものであり、特別法に定める窃盗罪についても、当該特別法に格段の定めがない限り、親族相盗例の規定が適用される。法定刑の軽重は、この適用関係を左右するものではない。
重要事実
被告人が森林窃盗罪(森林法197条)を犯した事案において、被告人と被害者との間に刑法244条が規定する親族関係が存在した。原審は、森林窃盗罪には刑法244条の適用がないと判断したが、本件については適法な告訴がなされていた。
あてはめ
刑法244条の文言は窃盗罪全般を指すものと解される。森林法197条は刑法235条の特別罪であるが、親族相盗例の適用を排除する特段の規定は存在しない。法定刑が軽減されていることは立法政策上の差異にすぎず、親族間の犯罪に関する処罰の特例を否定する根拠にはならない。したがって、森林窃盗罪にも同条は適用される。もっとも、本件では適法な告訴が存在するため、刑法244条2項により結局処罰されることに変わりはない。
結論
森林窃盗罪についても親族相盗例(刑法244条)の適用がある。本件では告訴があるため有罪。原判決の法令解釈は誤りだが、結論には影響しないため上告棄却。
実務上の射程
特別法上の窃盗罪(占有離脱物横領罪等も含む)全般に対し、刑法244条の準用・適用を肯定する際の有力な論拠となる。実務上は、親族相盗例が「刑の免除」または「告訴を要する」という効果を持つため、訴訟条件の存否を確認する場面で重要となる。
事件番号: 昭和30(あ)3518 / 裁判年月日: 昭和33年7月11日 / 結論: 棄却
森林法第二〇一条に定める森林賍物に関する罪についても、刑法第二五七条の適用がある。