森林法第二〇一条に定める森林賍物に関する罪についても、刑法第二五七条の適用がある。
森林賍物に関する罪と刑法第二五七条。
森林法201条,刑法257条,刑法256条
判旨
刑法257条1項に規定する「前条ノ罪」とは刑法256条の贓物罪を指すが、特別法である森林法上の森林贓物罪についても、特段の定めがない限り同条の適用ないし準用が認められる。
問題の所在(論点)
森林法に規定される森林贓物に関する罪について、親族間の犯罪に関する特例を定めた刑法257条1項が適用または準用されるか。
規範
刑法257条1項の「前条ノ罪」とは、同256条の罪すなわち贓物に関する罪を指す。特別法において森林贓物に関する罪が規定されている場合であっても、当該特別法に特段の定めがない限り、同条の適用は除外されない。また、当該特別法の公益的性質や、刑法上の贓物罪に比して法定刑が軽く定められていること等は、同条の適用を否定する根拠にはならない。
重要事実
被告人が森林贓物運搬の罪(森林法違反)に問われた事案において、第一審判決は、被告人と本犯との間に親族関係があることを理由に、刑法257条を適用または準用して刑を免除した。これに対し、検察側は、森林法が森林資源の保護等を目的とする公益的立法であることや、刑法に比して刑が軽いこと等を理由に、刑法257条の適用はないとして上告した。
あてはめ
森林法は森林資源の保護培養等を目的とする公益的立法であるが、その目的自体が直ちに刑法257条の適用を排除する根拠とはならない。また、森林贓物罪の法定刑が刑法の贓物罪より軽いことも、親族間の特例を否定する理由には当たらない。したがって、特別法である森林贓物罪についても、刑法257条が規定する「前条ノ罪」に含まれる、あるいはその趣旨が及ぶものと解される。
結論
森林贓物に関する罪についても刑法257条の適用ないし準用があり、親族間における刑の免除を認めた原判決に法令違反はない。
実務上の射程
特別法上の贓物罪(盗犯等防止法等)に対する刑法257条の適用の有無が問題となる場面で、本判決の論理を援用できる。特別法の立法趣旨や法定刑の軽重にかかわらず、特段の規定がない限り親族間の特例が及ぶとする広範な射程を持つ。
事件番号: 昭和50(あ)2349 / 裁判年月日: 昭和52年3月25日 / 結論: 棄却
刑法二四二条は、森林法一九七条の森林窃盗罪に適用されない。