弁論再開請求却下の決定は、特段の裁判書を作成しなくても、右請求書上欄に「否」として裁判長および陪席裁判官の押印をすることで行うことができる。
弁論再開請求却下決定の方式。
刑訴法313条1項,刑訴規則53条,刑訴規則55条,刑訴規則214条
判旨
弁論再開の申請に対する却下決定は、裁判書を別途作成する必要はなく、また刑事訴訟規則214条により送達を要しないため、告知が欠けていても直ちに違法とはならない。
問題の所在(論点)
弁論再開の申請に対する却下決定において、別途の裁判書の作成および送達・告知を欠くことが刑事訴訟法上の違法となるか。
規範
弁論再開の申請を却下する決定については、必ずしも別途の裁判書を作成することを要せず、また刑事訴訟規則214条に基づき、当該決定の送達は不要である。
重要事実
被告人側の弁護人が弁論再開申請書を提出したが、裁判所はこれを受け入れず、申請書の上欄に「否」として裁判長および両陪席裁判官が押印した。その後、別途の却下決定書の作成や送達、告知が行われないまま、原判決の言渡しがなされた。弁護人はこの手続の違法を主張して上告した。
あてはめ
事件番号: 昭和38(あ)1661 / 裁判年月日: 昭和38年12月25日 / 結論: 棄却
原審において、弁護人から弁償に関し、理由を具し書証を添付して弁論再開の請求があつたにかかわらず、原審としては今更証拠の取調のため弁論を再開する必要はないものと認め、何等の決定もせず再開を許さないまま判決を宣告したものであると解される場合には、原審の右措置は正当であつて、原審が再開を許さないで判決するについては、判決宣告…
本件では、弁論再開申請書の上欄に裁判官らの押印がなされており、これによって却下の決定があったと認められる。この種の決定は性質上、独立した裁判書を作成する必要はない。また、刑訴規則214条は再開請求却下決定の送達を求めておらず、告知がなかったとしても違法とはいえない。さらに、弁護人は判決言渡期日に出廷しており、申請が却下された事実は当然に了知し得たといえる。
結論
弁論再開申請の却下決定に裁判書の作成や送達がなくても違法ではなく、上告は棄却される。
実務上の射程
裁判所の決定のうち、付随的な申立てに対する却下判断の手続的簡略化を認める射程を有する。答案上は、弁論再開等の裁量的判断において、決定の形式的瑕疵を争う際の排斥根拠として活用できる。
事件番号: 昭和30(あ)3538 / 裁判年月日: 昭和33年6月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】弁論終結後に提出された情状に関する上申書について、裁判所が判断を示さずに判決を宣告したとしても、訴訟手続上の違法はない。 第1 事案の概要:被告人は一審有罪判決後、控訴を申し立てた。原審は控訴趣意書差出最終日を通知し、弁護人は期限内に控訴趣意書を提出した。その後、第1回公判期日で被告人及び国選弁護…