いわゆる前借金詐欺は、前借契約の民事的効力いかんの問題にかかわりなく、詐欺罪を構成する。
前借金詐欺と詐欺罪の成立。
刑法246条1項
判旨
詐欺罪の成否が争われた事案において、原判決が詐欺罪の成立を認めた判断を正当として上告を棄却したものである。
問題の所在(論点)
本件における最大の争点は、原判決が被告人の行為について詐欺罪の成立を認めたことの当否である。
規範
刑法246条1項の詐欺罪が成立するためには、人を欺いて錯誤に陥らせ、その錯誤に基づく処分行為によって財物を交付させたことが必要である。本決定は、原判決の判断を正当としており、詐欺罪の構成要件を充足する場合には同罪が成立するという一般的な枠組みを維持している。
重要事実
上告人は詐欺罪の成立を認めた原判決に対し、事実誤認、法令違反、量刑不当等を理由として上告を申し立てた。しかし、具体的な事案の詳細は本決定文(最高裁昭和33年9月1日)の記載からは不明である。
あてはめ
最高裁判所は、弁護人が主張する違憲の主張は実質において事実誤認や法令違反に帰するものであり、適法な上告理由に当たらないと判断した。また、原判決が判示の理由から詐欺罪の成立を認めたことについて、記録を精査しても正当であると認められ、刑訴法411条を適用して破棄すべき事由も見当たらないとした。
結論
被告人の行為について詐欺罪の成立を認めた原判決の判断は正当であり、本件上告は棄却される。
実務上の射程
本決定自体は簡潔な上告棄却決定であり、新たな規範を提示するものではないが、原審の詐欺罪成立の判断を是認した事例として位置づけられる。答案作成上は、事案の具体的な内容が不明であるため、一般的な詐欺罪の構成要件(欺罔、錯誤、処分行為、財物移転、因果関係、不法領得の意思)に事実をあてはめる際の確認的な参照にとどまる。
事件番号: 昭和33(あ)122 / 裁判年月日: 昭和36年7月4日 / 結論: 棄却
原判決は、本件詐欺被害者等は何れも、本件売買の目的物(註。骨董品)は判示元公爵家所蔵品である旨の被告人の虚言を信用したためこれを買受けたものであつて、そうでなければ本件売買は行われなかつたものであると認定しており、右認定に誤りはないこと記録に徴して明らかである。されば右の如く、真実を告知するときは相手方が金員を交付しな…
事件番号: 昭和33(あ)1409 / 裁判年月日: 昭和34年3月12日 / 結論: 棄却
債務者が債権者を欺罔し債務の弁済の猶予を得たときは、刑法第二四六条第二項の詐欺罪が成立する。