旧麻薬取締法(昭和二三年法律第一二三号)第四条第三号、第五七条の二の規定は憲法第一一条、第一三条に違反しない。
旧麻薬取締法(昭和二三年法律第一二三号)第四条第三号、第五七条の二の規定の合憲性。
旧麻薬取締法(昭和23年法律123号)4条3号,旧麻薬取締法(昭和23年法律123号)57条の2,憲法11条,憲法13条
判旨
麻薬(塩酸ヂアセチルモルヒネ)の取扱を厳重に制限する規定は、心身に及ぼす危険から公共の保健衛生を守るために必要であり、公共の福祉による正当な制限として憲法11条および13条に違反しない。
問題の所在(論点)
麻薬(特に塩酸ヂアセチルモルヒネ)の取扱を厳重に制限する法律の規定は、憲法11条および13条が保障する基本的人権を不当に侵害し、違憲とならないか。公共の福祉による制限の合理性が問題となる。
規範
個人の基本的人権も「公共の福祉」による制限を受ける。特に、人の心身に極めて危険な害悪を生ずるおそれがある薬物等の取扱については、公共の保健衛生を維持するという公共の福祉の要請に基づき、厳重な制限を設けることが許容される。
重要事実
被告人らは、麻薬取締法等に基づき、塩酸ヂアセチルモルヒネ(ヘロイン)の所持等の罪に問われた。これに対し、被告人側は、同法による麻薬の取扱制限が、憲法11条(基本的人権の享有)および13条(個人の尊重・幸福追求権)に違反し、個人の自由を不当に制約するものであると主張して争った。
あてはめ
本件で問題となった塩酸ヂアセチルモルヒネは、その用法によって人の心身に極めて危険な害悪を生ずる蓋然性が高い。このような危険物による健康被害を未然に防止し、社会全体の保健衛生を維持することは「公共の福祉」に合致する重要な目的である。したがって、この目的を達成するために設けられた取扱の厳重な制限規定は、必要かつ合理的な制約といえる。
結論
麻薬取締法の制限規定は、公共の福祉に基づく必要かつ合理的な制約であるため、憲法11条および13条に違反しない。
実務上の射程
人権の制約が「公共の福祉」の名の下に正当化される代表的な事例(薬物規制)として活用できる。薬事規制や依存性薬物の規制に関し、目的の正当性と手段の必要性を論じる際の判例根拠となる。ただし、現在の審査基準論(二重の基準論等)に照らすと、抽象的な「公共の福祉」だけでなく、より具体的な利益衡量が必要となる点に注意が必要である。
事件番号: 昭和27(あ)4300 / 裁判年月日: 昭和28年3月31日 / 結論: 棄却
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一 覚せい剤の譲渡、譲受の制限および禁止に関する薬事法第四一条第七号、第四四条第七号、第五六条、覚せい剤取締法第一七条第三項、第四一条第一項第四号は、憲法第一三条に違反しない。 (裁判官栗山茂の少数意見) 被告人が当審で初めて適用罰条の違憲性を主張しても、それは刑訴四〇五条にいう、高等裁判所がした判決に対し憲法の解釈に…