一 たばこ専売法第七五条第二項に規定する追徴すべき「価額」とは、その物件の客観的に適正な価額を意味する。 二 同法第七五条第一項所定の物件を他に譲り渡したときは、その譲渡人から右物件を没収する場合においても、その譲渡人からは、右物件の価額を追徴しなければならない。
一 たばこ専売法第七五条第二項の追徴価額。 二 同法第七五条第一項所定の物件を他に譲り渡した場合、その譲渡人に対し、右物件の価額を追徴することの適否。
たばこ専売法75条,たばこ専売法71条1号,たばこ専売法66条1項
判旨
共犯者間における追徴金の納付義務は、各自が全額について連帯してその責任を負うものであり、そのうちの一人が全額を納付したときは他の者の納付義務は消滅する。
問題の所在(論点)
共犯者に対する追徴を命ずる際、各被告人が負担すべき追徴金の範囲および共犯者間での責任の性質(連帯債務的性質の有無)が問題となる。
規範
共犯者等に没収不能による追徴を命ずる場合、各共犯者は当該物件の価額全額について連帯して納付すべき義務を負う。ただし、その中の一人が全額を納付したときは、他の者はその限度で納付の責任を免れる。
重要事実
被告人A、B、Cはたばこ専売法違反の罪に問われた。原判決は、同法75条1項に基づき、犯人が没収すべき物件を他に譲り渡した場合にはその価額を追徴すべきものとし、同条2項の追徴額を物件の客観的に適正な価額と解して追徴を命じた。これに対し被告人側は、追徴の範囲や共犯者間の責任関係について法令違反があるとして上告した。
あてはめ
原判決が、物件を他に譲り渡した事実がある以上その価額を追徴すべきとした点、および追徴額を客観的に適正な価額とした点は正当である。また、共犯者は追徴につき各自連帯合同の責任を負担すると解される。この場合、共犯者の一人が全額を納付したときは、他の者が二重に支払う必要はなく、納付の責任を免れることになるため、被告人側の主張するような二重の追徴といった不当な結果は生じない。
結論
共犯者は追徴について連帯して責任を負い、一人の完納により他者の義務も消滅する。したがって、原判決の判断に法令違反はなく、上告を棄却する。
実務上の射程
刑事判例上、共犯者間の追徴が「連帯」して命じられるべきことを示した重要な判断である。実務上、共犯事件の起案において追徴を課す際は、個別に分割して課すのではなく、全額について「被告人らから各金〇〇円を追徴する」として連帯責任(いわゆる連帯追徴)を明示する根拠となる。
事件番号: 昭和35(あ)2624 / 裁判年月日: 昭和38年9月18日 / 結論: 棄却
たばこ専売法第七五条第一項所定のたばこを、甲乙丙丁と順次譲り渡し(売買)たときは、甲乙丙の各譲渡にかかるたばこの個数と価額に応ずる各金額を、譲渡人である甲乙丙から各別に追徴すべきである。