刑訴規則第二一六条、第二二二条の規定は第一審における刑訴第二八四条、第二八五条第一、二項にあたる事件に関するものであつて、控訴審には準用のない規定である
刑訴規則第二一六条、第二二二条と控訴審への準用の有無
刑訴法284条,刑訴法285条,刑訴法390条,刑訴規則216条,刑訴規則222条
判旨
控訴審において被告人が不出頭のまま判決を宣告する場合、召喚状への判決宣告の旨の付記(刑訴規則216条)や判決主文の通知(同規則222条)は、第一審の軽微事件等の特則に由来するものであり、控訴審には準用されない。
問題の所在(論点)
控訴審において被告人不在で判決を宣告する場合、裁判所は刑事訴訟規則216条(判決宣告旨の召喚状への付記)および同規則222条(判決主文等の通知)を遵守する義務を負うか。刑事訴訟規則250条による準用の有無が問題となる。
規範
刑事訴訟規則216条および222条は、第一審において被告人の出頭を要しない軽微な事件(刑訴法284条、285条)を念頭に、判決宣告の機会の告知や結果の把握を保障するために設けられた規定である。これらの規定は、第一審の特殊な事件に限り適用される性質のものであるため、刑事訴訟規則250条(控訴審への準用規定)にかかわらず、控訴審には準用されないと解するのが相当である。
重要事実
被告人は、長期3年を超える懲役にあたる罪で起訴され、控訴審において公判が進行していた。控訴裁判所は、被告人が公判期日に出頭しないまま開廷審理および判決の宣告を行った。その際、裁判所は召喚状に判決を宣告する旨を付記せず、また判決宣告後に主文等の通知も行わなかった。被告人側は、これらの手続を怠ったことが刑事訴訟規則216条・222条に違反し、ひいては憲法違反にあたると主張して特別抗告を申し立てた。
事件番号: 昭和27(し)21 / 裁判年月日: 昭和28年7月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴棄却決定に対する異議申立期間を徒過した場合であっても、自己等の責に帰すべからざる事由があるときは、上訴権回復の規定を準用して異議権の回復を請求できるが、その請求なしに単になされた異議申立は不適法である。 第1 事案の概要:抗告人は麻薬取締法違反で有罪判決を受け控訴したが、指定された期間内に控訴…
あてはめ
まず、第一審において被告人の出頭なしに判決宣告ができるのは、5000円以下の罰金・科料事件(刑訴法284条)や、一定の範囲の拘留・懲役事件(同法285条)などの軽微事件に限られる。規則216条および222条は、これら第一審の例外的な場合に、被告人の出頭を確保し、あるいは判決結果を知らせるために設けられた特則である。これに対し、本件は長期3年を超える懲役にあたる事件であり、かつ控訴審である。控訴審はそもそも被告人の出頭を必ずしも要しない(刑訴法390条)が、規則216条・222条は前述の通り第一審の特殊な事件を前提とした規定であるから、規則250条の一般準用規定によって控訴審に引き写されるものではない。したがって、これらの手続をとることは望ましいとしても、法的義務ではない。
結論
控訴裁判所が判決宣告の付記や判決主文の通知を行わなかったとしても、刑事訴訟規則に違反するものではなく、違法とはいえない。
実務上の射程
控訴審における被告人不在判決の有効性を支える判例。実務上、控訴審判決の宣告期日の召喚状に「判決」と記載がなくても適法とされるが、被告人の防御権保障の観点からは、判例も認める通り通知を行うことが「望ましい」運用である点に留意する。
事件番号: 昭和57(し)72 / 裁判年月日: 昭和57年6月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴趣意書の差出最終日を指定した後に選任された弁護人に対し、改めて当該最終日の通知を行う必要はない。この運用は、憲法31条、32条、37条1項のいずれにも違反しない。 第1 事案の概要:本件において、裁判所は控訴趣意書の差出最終日を指定したが、その後、弁護人選任届が提出された。新たに選任された弁護…
事件番号: 昭和27(し)90 / 裁判年月日: 昭和28年3月3日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】送達報告書により控訴趣意書提出最終日の通知書が適法に送達された事実が認められる場合、通知を受けていないことを前提とする憲法32条違反の主張は採用されない。 第1 事案の概要:申立人は、麻薬取締法違反等被告事件において、控訴趣意書の提出最終日の通知書を受け取っていないと主張し、裁判を受ける権利(憲法…
事件番号: 昭和44(し)22 / 裁判年月日: 昭和44年10月1日 / 結論: その他
控訴審において被告人に公判期日(判決宣告期日を含む。)の通知をすることなく、被告人が出頭しないまま公判を開廷することは違法である。
事件番号: 昭和57(し)46 / 裁判年月日: 昭和57年4月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴趣意書の差出最終日を指定した後に選任された弁護人に対し、裁判所が改めて当該最終日を通知しなくても、憲法13条や32条には違反しない。 第1 事案の概要:控訴審において、裁判所が控訴趣意書の差出最終日を指定した後、その指定の後に新たな弁護人が選任され、弁護人選任届が差し出された。裁判所は、この新…