警察犬による本件臭気選別の結果は、右選別につき専門的な知識と経験を有する指導手が、臭気選別能力が優れ選別時においても右能力のよく保持されている警察犬を使用して実施したものであり、かつ、臭気の採取、保管の過程や選別の方法に不適切な点がないから、これを有罪認定の用に供することができる。
警察犬による臭気選別の結果が有罪認定の用に供しうるとされた事例
刑訴法317条,刑訴法318条,刑訴法321条3項
判旨
警察犬による臭気選別結果は、指導手の専門性、犬の能力・体調、採取・保管・実施方法の適正さが認められれば証拠能力を有し、その報告書は刑訴法321条3項により証拠能力が認められる。
問題の所在(論点)
警察犬による臭気選別の結果を有罪認定の証拠として用いることができるか。また、その経過・結果を記載した報告書について、刑訴法321条3項を適用して証拠能力を認めることができるか。
規範
警察犬による臭気選別結果が証拠能力を有するためには、①専門的知識と経験を有する指導手が、②選別能力に優れ、かつ実施時に体調良好で能力が保持されている警察犬を使用して実施したこと、および③臭気の採取・保管過程や選別方法が適正であることを要する。また、これらを記載した報告書は、作成者たる司法警察員等が公判期日にてその正確性を証言すれば、刑訴法321条3項により証拠能力が付与される。
重要事実
被告人が関与したとされる刑事事件において、警察犬による臭気選別が実施された。この選別は専門的な指導手によって行われ、使用された警察犬は優れた能力を有し、実施時の体調も良好であった。臭気の採取および保管、選別の実施過程についても不適切な点は認められなかった。これらの経過と結果を記した報告書について、立ち会った司法警察員らが公判で正確に記載した旨を証言した。
事件番号: 昭和47(あ)1023 / 裁判年月日: 昭和48年3月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】「酒酔い鑑識カード」の「化学判定」欄は、調査日時、司法巡査の署名押印がある場合には、刑事訴訟法321条3項にいう「検証の結果を記載した書面」に該当する。 第1 事案の概要:被告人が酒酔い運転の疑いで捜査を受けた際、司法巡査が「酒酔い鑑識カード」を作成した。当該カードの「化学判定」欄には、アルコール…
あてはめ
本件では、指導手の専門性(要件①)および警察犬の能力・体調(要件②)がいずれも具備されていた。また、臭気の採取から選別方法に至るまで不適切な点はなく、手続の適正性(要件③)も認められる。したがって、選別結果は有罪認定の用に供しうる。さらに、報告書についても作成者である司法警察員の証言により、その経過と結果が正確に記載されていることが裏付けられており、伝聞例外としての適格性を備えているといえる。
結論
本件各臭気選別の結果は証拠能力を有し、有罪認定の用に供することができる。また、同報告書は刑訴法321条3項により証拠能力が認められる。
実務上の射程
科学的証拠としての信頼性が問題となる事案における基本的な判断枠組みを示す。答案上では、321条3項の適用を肯定する前提として、本判例が示す3つの要件(指導手、犬の能力、方法の適正)を検討し、証拠の関連性・許容性を論じる際に用いる。
事件番号: 昭和54(あ)2200 / 裁判年月日: 昭和55年3月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法38条3項の補強証拠は、自白の真実性を担保し、これと相まって公訴事実の存在を推測させる証明力があれば足りる。 第1 事案の概要:被告人が起訴された事実(本件公訴事実)に対し、有罪の証拠として被告人の自白が存在した。これに加え、福岡県技術吏員Aが作成した昭和51年12月18日付の鑑定書が証拠とし…
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【結論(判旨の要点)】呼気検査が強制にわたるものではなく、かつ派出所への同行が任意捜査の域を超えない場合には、当該捜査は適法である。 第1 事案の概要:被告人Aに対し、警察官が酒気帯び運転の疑いで呼気検査を実施した。また、その際、被告人を派出所まで同行させた。弁護人は、これらの行為が強制捜査に該当し、憲法31条および3…