一 議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律により一個の宣誓に基づき同一の証人尋問手続においてされた数個の虚偽の陳述は、同法六条一項違反の罪として、一罪を構成する。 二 議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律八条(昭和六三年法律第八九号による改正前のもの)による告発が、同法六条一項違反の罪として一罪を構成する数個の陳述の一部分についてされた場合、告発の効力は、他の陳述部分にも及ぶ。
一 議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律により一個の宣誓に基づき同一の証人尋問手続においてされた数個の虚偽の陳述と同法六条一項違反の罪の罪数 二 議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律六条一項違反の罪として一罪を構成する数個の陳述の一部分についてされた同法八条(昭和六三年法律第八九号による改正前のもの)による告発の効力の及ぶ範囲
議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律6条1項,議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律8条(昭和63年法律89号による改正前のもの),刑訴法238条
判旨
議院証言法に基づく偽証罪において、一個の宣誓に基づき同一の証人尋問手続でなされた数個の虚偽陳述は一罪を構成し、その一部に対する議院等の告発の効力は他の陳述部分にも及ぶ。
問題の所在(論点)
議院証言法8条に基づく告発がなされた場合において、告発状に記載されていない陳述部分についても、告発の効力が及び、訴訟条件を満たすか。
規範
議院証言法6条1項の偽証罪については、一個の宣誓に基づき同一の証人尋問の手続においてされた数個の陳述は、包括して一罪を構成する。したがって、一罪を構成すべき事実の一部について告発がなされた場合、当該告発の効力は当然に一罪を構成する他の陳述部分にも及ぶ(告発不可分の原則)。また、一罪を構成すべき事実のうちどの範囲で公訴を提起するかは検察官の合理的裁量に委ねられる。
重要事実
事件番号: 昭和62(あ)1351 / 裁判年月日: 平成7年2月22日 / 結論: 棄却
一 刑訴法はいわゆる刑事免責の制度を採用しておらず、刑事免責を付与して得られた供述を録取した嘱託証人尋問調書を事実認定の証拠とすることは許容されない。 二 内閣総理大臣が運輸大臣に対し民間航空会社に特定機種の航空機の選定購入を勧奨するよう働き掛けることは、内閣総理大臣の運輸大臣に対する指示として、賄賂罪の職務行為に当た…
被告人は、衆議院予算委員会に証人として出頭し、宣誓の上、航空機採用の経緯等について証言した。衆議院予算委員会は、被告人が「前任者とD社との間にオプションがあったことは知らなかった」旨の陳述(陳述A)をしたことが偽証に当たるとして告発した。しかし、告発状には、同日の尋問でなされた「現金を受領して簿外資金としたことはない」旨の陳述(陳述B)については摘示されていなかった。検察官は、陳述Aおよび陳述Bの両方について偽証罪として公訴を提起した。
あてはめ
本件において、被告人は一個の宣誓に基づき、同一の委員会における一連の証人尋問手続の中で陳述Aおよび陳述Bを行っている。これらは社会通念上、偽証罪として一罪(包括一罪)を構成するものと解される。議院等の告発は議院の自律権能を尊重する趣旨で訴訟条件とされているが、一罪の一部について告発の意思が示された以上、その効力は当然に同一罪を構成する他の事実にも及ぶと解するのが相当である。したがって、告発状に陳述Bの摘示がなくても、陳述Aに対する告発の効力により陳述Bについても訴訟条件を欠くものではない。
結論
本件告発の効力は、陳述Aのみならず、告発状に記載のない陳述Bについても及ぶため、公訴提起は適法である。
実務上の射程
訴訟条件(親告罪の告訴や本件の告発)の客観的不可分の原則が、議院の自律権が及ぶ議院証言法上の告発にも適用されることを明示した点に意義がある。答案上は、数罪か一罪(包括一罪)かの罪数論を先行させた上で、訴訟条件の効力の範囲を論じる際に本判例の枠組みを用いるべきである。
事件番号: 昭和24(れ)129 / 裁判年月日: 昭和24年7月9日 / 結論: 破棄自判
一 昭和二二年法律第二二五號議院における證人の宣誓及び證言等に關する法律違反の罪は、同法第八條所定の各議院若しくは委員會又は兩議院の合同審査會の告發をもつて控訴提起の條件と爲すべきものであることは、既に當裁判所の判例とするところである(昭和二三年(れ)第一九五一號昭和二四年六月一日大法廷判決) 二 有毒飲食物等取締令第…
事件番号: 昭和37(あ)1250 / 裁判年月日: 昭和40年9月21日 / 結論: 棄却
一 本件犯罪のように併合罪関係にある数罪は、立証手続のうえにおいても別個独立の犯罪として取り扱われるべきもので、この数毎に補強証拠を必要とし、しかも、その補強証拠たるや、その犯罪の各構成要件事実それ自体に関連するものであることを要するものと解するのが相当であり、所論原判示のように、適法な証拠により認め得られるものである…
事件番号: 昭和31(あ)3837 / 裁判年月日: 昭和35年6月28日 / 結論: 棄却
外国為替及び外国貿易管理法二二条は、本邦居住者に対し、政令の定める所により本件ドル表示小切手の如き対外支払手段等を、日本銀行等に売却する義務即ち集中義務を課して居るけれども、同法第二五条は、同二二条の適用範囲を制限し、外国に在る間の取引に因り外国の銀行になした預金については、日本の管理法令を適用しない旨を規定し、同法又…
事件番号: 昭和31(あ)4601 / 裁判年月日: 昭和32年10月11日 / 結論: 棄却
一 外国にある弗預金を取得した代償として本邦の居住者に対して基準外国為替相場を超える支払をした場合は、外国為替及び外国貿易管理法第二八条と同法第七条第六項違反の罪が成立し、両者は観念的競合になる。 二 国外に去ることが明らかな参考人の検察官面前調書であつても証拠能力を失うものではない。