自動速度監視装置により速度違反車両の運転者及び同乗者の容ぼうを写真撮影することは、憲法一三条に違反しない。
自動速度監視装置による速度違反車両運転者及び同乗者の容ぼうの写真撮影の合憲性
憲法13条
判旨
自動速度監視装置による容ぼうの撮影は、現に犯罪が行われ、証拠保全の緊急性があり、かつ方法が相当である限り、憲法13条に違反しない。また、除外できない状況にある同乗者の撮影についても、憲法13条および21条に違反しない。
問題の所在(論点)
自動速度監視装置(オービス)による運転者および同乗者の容ぼうの撮影が、憲法13条(肖像権・プライバシー)および21条に違反するか。
規範
個人の容ぼう等をみだりに撮影されない自由は憲法13条により保障されるが、公共の福祉のため相当な制限を受ける。具体的には、①現に犯罪が行われている場合になされ、②犯罪の性質、態様からいって緊急に証拠保全をする必要性があり、③その方法が一般的に許容される限度を超えない相当なものであるときは、適法な強制にわたらない任意捜査として許容される。
重要事実
被告人は道路交通法違反(速度超過)を犯した際、設置されていた自動速度監視装置(オービス)によって運転中の容ぼうを撮影された。この際、車両の同乗者も同時に撮影されたため、肖像権(憲法13条)や表現の自由(21条)を侵害する違憲・違法な捜査であるとして争われた。
あてはめ
本件装置による撮影は、速度違反という犯罪が現に行われている際になされるものである(①充足)。速度違反は瞬時に終了する性質上、その場で証拠を確保しなければ後の立証が困難となるため、緊急の証拠保全の必要性が認められる(②充足)。撮影の方法も、違反車両の確認と運転者の特定に必要な範囲に限られており、一般的に許容される限度を超えない相当なものである(③充足)。また、同乗者の撮影についても、運転者の近くにいるため除外できない状況にある以上、これに伴う不可避的な結果であり、不当に権利を侵害するものとはいえない。
結論
オービスによる運転者および同乗者の撮影は合憲であり、適法である。したがって、本件上告は棄却されるべきである。
実務上の射程
京都府学連事件(最判昭44.12.24)の射程を、犯罪現場での写真撮影という文脈でオービスによる捜査に及ぼしたものである。強制捜査(刑訴法197条1項但書)に至らない任意捜査の限界を示す「3要件」の当てはめモデルとして、答案上極めて重要である。
事件番号: 昭和48(あ)492 / 裁判年月日: 昭和48年7月5日 / 結論: 棄却
速度制限違反を処罰するのは憲法一三条に違反すると主張するが、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図るため、車両の速度をどのように規制するかは、もつぱら立法政策に委ねられている事項であつて、右規制により、憲法一三条によつて保障された国民の権利を侵害するという問題は生じないから、主張は前提を欠いている。