上告棄却決定に対する異議申立については、上訴権回復に関する規定の準用がある。
上告棄却決定に対する異議申立と上訴権回復に関する規定の準用の有無
刑訴法362条,刑訴法363条,刑訴法385条2項,刑訴法386条2項,刑訴法414条
判旨
上告棄却決定に対する異議申立には刑訴法362条以下の規定が準用され、自己の責めに帰すべきでない事由が止んだ日から異議申立期間(3日)以内に回復請求をしなければならない。
問題の所在(論点)
上告棄却決定に対する異議申立について、上訴権回復に関する規定(刑訴法362条等)が準用されるか。また、決定謄本が不達の場合であっても、他の方法で決定を知った場合に「事由が止んだ」といえるか。
規範
1. 上告棄却決定に対する異議申立については、刑訴法362条以下の上訴権回復に関する規定の準用を認める。 2. したがって、自己の責めに帰することのできない事由によって異議申立期間内に申立てをすることができなかった者は、その事由が止んだ日から異議申立期間に相当する期間(3日)以内に、回復の請求をしなければならない。
重要事実
申立人に対する上告棄却決定の謄本が書留郵便で発送されたが、結局申立人には到達しなかった。しかし、申立人は昭和57年1月27日、検察官から「刑が確定したため受刑のため出頭されたい」旨の呼出状を受け取った。その後、同年2月5日になって、上告棄却決定の取消し等を求める異議申立権の回復請求及び異議申立を行った。
事件番号: 昭和49(す)44 / 裁判年月日: 昭和49年3月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所がした上告棄却の決定に対しては、刑事訴訟法上、再上告の申立てをすることは許されない。 第1 事案の概要:申立人Aは、自身に対する道路交通法違反被告事件に関し、最高裁判所が昭和49年2月28日に行った上告棄却決定に不服を抱き、最高裁判所に対し「再上告申立書」と題する書面を提出した。 第2 …
あてはめ
まず、上告棄却決定への異議申立についても、手続保障の観点から刑訴法362条以下の準用が認められる。本件では、決定謄本が申立人に到達していない以上、当初は自己の責めに帰さない事由があったといえる。しかし、申立人は昭和57年1月27日に検察官からの呼出状を受け取った際、本件上告棄却決定があったことを認識したと認められる。この時点をもって、回復請求の障壁となっていた「自己の責めに帰すべきでない事由」は止んだと解される。したがって、同日から3日間の申立期間内に請求を行う必要があったところ、同年2月5日の請求は当該期間を経過しており不適法である。
結論
本件異議申立権の回復請求は期間経過により不適法であり、それに伴い異議申立自体も不適法として棄却される。
実務上の射程
上訴権回復の準用を認める実務上重要な決定である。特に、決定謄本の送達という正式な手続が完了していなくても、受刑の呼出等によって決定の存在を認識した場合には、その時点から回復請求の期間(3日)が進行し始めるという点に注意を要する。
事件番号: 昭和44(す)59 / 裁判年月日: 昭和44年4月3日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】異議申立権の回復が認められるためには、申立人または代理人の責めに帰することができない事由によって期間内に申立ができなかったことが必要である。本件では、かかる事由が認められないため、期間経過後の異議申立は不適法として棄却される。 第1 事案の概要:申立人は、異議申立期間を経過した後に、異議申立権の回…
事件番号: 昭和57(す)156 / 裁判年月日: 昭和57年8月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】電報は刑事訴訟法423条に規定される「申立書」には該当せず、電報による異議の申立ては不適法である。 第1 事案の概要:申立人は、最高裁判所がした上告棄却の決定に対し、特別抗告をする旨の電報を送付した。裁判所は、これを決定に対する異議の申立てと解した上で、電報が申立書に該当するかを判断した。 第2 …
事件番号: 昭和43(し)38 / 裁判年月日: 昭和43年9月17日 / 結論: その他
本件のような事情(決定文参照)のもとにおいては、控訴趣意書不提出による控訴棄却決定に対する異議申立を受けた原裁判所としては、当該郵便送達報告書の記載内容に疑いの余地があるから、申立人に控訴趣意書差出最終日通知書が送達されたかどうかを判断するには、なお、関係者の取調等事実の取調を必要とすると認められるのに、原裁判所が、事…
事件番号: 昭和26(し)57 / 裁判年月日: 昭和26年10月6日 / 結論: 棄却
高等裁判所がした控訴棄却の決定に対し、自己又は代人の責に帰することができない事由により所定の期間内に異議の申立をすることができなかつた場合には、上訴権の回復の規定の準用がある。