電報電話局長に対し逆探知資料の送付嘱託を行うことの当否等を判断するため、右資料の存否という訴訟法的事実を認定するには、いわゆる自由な証明で足りる。
訴訟法的事実につき自由な証明で足りるとされた事例
刑訴法317条,刑訴法320条,刑訴法323条3号
判旨
訴訟法上の事実については、厳格な証明を要せず、いわゆる自由な証明で足りる。したがって、証拠の存否を確認するための資料について、伝聞例外(刑訴法323条3号)の該否を問わず証拠調べを行うことは適法である。
問題の所在(論点)
訴訟手続の適否を判断するための資料(本件では送付嘱託の対象物の存否に関する回答書)について、刑訴法323条3号等の伝聞例外規定を満たす「厳格な証明」が必要か。
規範
犯罪事実等、実体法上の権利義務を基礎づける事実(実体事実)については厳格な証明(適式な証拠調べを経た証拠能力ある証拠による証明)を要する。一方で、訴訟手続の前提となる事実や証拠能力・証明力の判断に資する事実(訴訟法的事実)については、厳格な証明の手続を経る必要はなく、いわゆる自由な証明で足りる。
重要事実
被告人が司法警察員に対して行った供述調書の任意性が争われた事案。原審は、弁護人が申請した逆探知資料の送付嘱託に関し、電報電話局長から送付された「当該資料は存在しない」旨の回答書を、刑訴法323条3号の書面として取り調べた。弁護人は、当該回答書が同条3号の書面に該当せず、証拠能力が認められない旨を主張して上告した。
事件番号: 昭和25(あ)3116 / 裁判年月日: 昭和27年12月18日 / 結論: 棄却
売笑婦とその抱主との契約関係は、職業安定法第5条1項にいわゆる「雇用関係」にあたる。
あてはめ
本件の回答書は、逆探知資料の送付嘱託を行うことの当否や、逆探知に関する証人申請の採否を判断するための資料にすぎない。このような資料が証明の対象とする事実は、刑罰権の存否・範囲を画定する実体事実ではなく、訴訟手続上の判断に資する「訴訟法的事実」である。したがって、自由な証明で足り、当該回答書が323条3号の要件を満たすか否かを検討するまでもなく、証拠調べの手続きに違法はないといえる。
結論
訴訟法的事実の立証については自由な証明で足りるため、回答書を取り調べた原審の措置に違法はない。上告棄却。
実務上の射程
伝聞法則の適用範囲を画する重要判例である。答案上は、公判前整理手続の要件や証拠能力の前提(任意性等)を判断する際に、厳格な証明が不要であることを示す根拠として活用する。ただし、訴訟法的事実であっても、任意性の立証のように人権保障に関わる重要な事実については、実務上慎重な取り扱いが求められる点に注意を要する。
事件番号: 昭和27(あ)3792 / 裁判年月日: 昭和27年11月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の自白の任意性に疑いがある場合、裁判所は証人尋問等の証拠調べを通じてその任意性を確認した上で、証拠として採用することができる。また、補強証拠が存在する場合には、憲法38条3項の自白のみによる有罪判決の禁止に抵触しない。 第1 事案の概要:被告人は、司法警察員に対して行った自白が拷問によるもの…
事件番号: 昭和46(あ)118 / 裁判年月日: 昭和47年4月11日 / 結論: 棄却
所論の金融機関から捜査官への捜査関係事項の照会に対する回答書は刑訴法三二三条三号にいう「特に信用すべき情況の下に作成された書面」にあたるものと認められる。