個室付浴場業(いわゆるトルコぶろ営業)の規制を主たる動機、目的とする知事の本件児童遊園設置認可処分(判文参照)は、行政権の濫用に相当する違法性があり、個室付浴場業を規制しうる効力を有しない。
知事の児童遊園設置認可処分が行政権の濫用に相当する違法性を帯びているとして個室付浴場業(いわゆるトルコぶろ営業)を規制しうる効力がないとされた事例
風俗法4条の4第1項,風俗法4条の4第3項,風俗法4条の7第2項,風俗法4条の8,児福法35条,児福法40条
判旨
行政処分が、本来の目的を逸脱して特定の営業を規制することのみを主たる動機・目的としてなされた場合、行政権の濫用として違法であり、当該営業を規制する根拠となり得ない。
問題の所在(論点)
特定の営業を規制・阻止することのみを目的としてなされた児童福祉施設の設置認可処分が、行政権の濫用として違法となるか。また、その違法な処分が当該営業を規制する法的根拠となり得るか。
規範
行政権の行使は、個別の法律が当該処分を認めた本来の趣旨・目的に沿ってなされるべきである。特定の営業活動を規制することのみを主たる動機・目的としてなされた認可処分は、その施設を設置・認可すべき本来の必要性や緊急性が認められない限り、行政権の濫用に相当する違法性を帯びる。このような違法な処分は、当該営業を規制する法的効力を有しない。
重要事実
被告会社は個室付公衆浴場(トルコ風呂)の営業を計画していた。これに対し、a町は県警察等と協議の上、当該営業を阻止する目的で、営業予定地から約135メートルの地点にある既存の無認可児童遊園について、児童福祉法に基づく設置認可を申請し、山形県知事はその経緯を知りつつ認可処分を行った。被告会社は、当該児童福祉施設の付近での営業を禁止する風俗営業等取締法(当時)に違反したとして起訴された。
あてはめ
児童遊園は児童の健康増進や情操教育を目的とする施設(児童福祉法40条)である。本件認可処分は、被告会社の営業規制を「主たる動機・目的」としてなされており、記録上、営業規制以外に当該施設を認可施設として整備すべき「必要性や緊急性」をうかがわせる事情は認められない。したがって、本件処分は児童福祉法の趣旨に沿わない行政権の著しい濫用であり、被告会社の営業を規制しうる法的効力を欠く。よって、規制の前提となる「児童福祉施設の存在」が証明されないことになる。
結論
本件認可処分は行政権の濫用として違法であり、被告人の営業を規制する効力を持たない。したがって、被告人の行為は処罰の対象とならず、無罪である。
実務上の射程
行政処分の目的外利用(目的違反)が行政権の濫用(裁量権の逸脱・濫用)を構成することを示した重要判例である。刑罰の前提となる行政処分の効力を否定し、無罪を導く「先決問題」の処理としても活用できる。答案上は、行政庁の意図が不当な目的(特定の排除等)に基づいている場合に、裁量権行使の違法性を基礎付ける論拠として用いる。
事件番号: 昭和43(あ)354 / 裁判年月日: 昭和44年3月24日 / 結論: 棄却
営業所内の一部を間仕切してその部分で営業を廃止した場合であつても、残存の営業に充てられる部分の構造設備との相関関係から何らかの構造設備上の変更を生ずることを免かれえないのであつて、風俗営業等取締法施行条例(昭和三九年福井県条例第三九号)一二条にいう「構造設備の変更」に当たると解すべきである。
事件番号: 昭和60(行ツ)197 / 裁判年月日: 平成元年3月7日 / 結論: 棄却
公衆浴場法二条二項及び大阪府公衆浴場法施行条例二条は、憲法二二条一項に違反しない。