勾留期間更新の裁判は刑訴規則六条にいう「訴訟手続」には含まれない。
勾留期間更新の裁判と刑訴規則六条にいう「訴訟手続」
刑訴規則6条,刑訴法60条
判旨
勾留期間更新の裁判は、刑事訴訟規則6条に規定される「訴訟手続」には含まれない。したがって、同条に基づく裁判書の謄本の送達等は不要である。
問題の所在(論点)
勾留期間更新の裁判が、刑事訴訟規則6条にいう「訴訟手続」に含まれるか。これに伴い、裁判書の謄本の送達等の手続を要するか。
規範
刑事訴訟規則6条が規定する「訴訟手続」に関する書類の送達義務は、勾留期間更新の裁判には適用されない。同裁判は、身体拘束の期間を延長する性質を有するが、同条の対象とする「訴訟手続」そのものには該当しないと解する。
重要事実
被告人または被疑者の勾留期間を更新する裁判がなされた際、当該裁判が刑事訴訟規則6条にいう「訴訟手続」に含まれるか否かが争点となった。抗告人は、同条に基づき裁判書の謄本の送達等が必要である旨を主張したが、原決定はこれを否定した。
あてはめ
事件番号: 平成9(し)179 / 裁判年月日: 平成9年10月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】勾留取消し請求を却下する裁判は、刑事訴訟規則6条にいう「訴訟手続」には含まれない。 第1 事案の概要:勾留取消しの請求に対し、裁判所がこれを却下する裁判を行った事案において、当該却下の裁判が刑事訴訟規則6条に規定される「訴訟手続」に該当するか否かが争点となり、特別抗告がなされた。 第2 問題の所在…
刑事訴訟規則6条は、訴訟手続に関し、裁判書の謄本等の送達を求めている。しかし、勾留期間更新の裁判は、既に開始されている勾留の効果を維持・延長する裁判であり、同条が予定する性質の「訴訟手続」には当たらない。したがって、同条の適用を前提とした不服申し立ては、前提を欠くものといえる。
結論
勾留期間更新の裁判は刑事訴訟規則6条の「訴訟手続」に含まれない。したがって、同条に基づく手続上の瑕疵を理由とする抗告は棄却される。
実務上の射程
本決定は、勾留期間更新の裁判における書類送達の要否を明確にしたものである。実務上、勾留更新の告知や送達の遅滞を理由に手続の違法を主張する際の限界を示す裁判例として機能する。答案作成上は、勾留手続の適法性を論じる際、規則6条の適用の有無を判断する根拠として用いる。
事件番号: 平成6(し)88 / 裁判年月日: 平成6年7月8日 / 結論: 棄却
勾留期間更新決定に関する抗告申立ての利益は、右決定による勾留の期間の満了により失われる。
事件番号: 昭和35(し)29 / 裁判年月日: 昭和35年10月4日 / 結論: 棄却
勾留更新決定の執行は、その謄本の送達を要件としない。
事件番号: 昭和29(し)27 / 裁判年月日: 昭和29年6月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】有罪判決の確定により未決勾留はその効力を失うため、勾留期間更新決定の当否を争う特別抗告は、不服申立ての利益を欠き不適法となる。 第1 事案の概要:申立人は窃盗被告事件に関し、名古屋高等裁判所で控訴棄却の有罪判決を受けた。これに対し上告受理の申立てを行ったが受理されず、昭和29年5月14日に原判決が…
事件番号: 昭和42(し)26 / 裁判年月日: 昭和42年8月31日 / 結論: 棄却
甲被疑事実による勾留を利用して乙被疑事実につき取り調べた後、いつたん釈放し直ちに乙被疑事実により逮捕勾留した場合において、乙事実について公訴が提起され、その後も勾留理由があるときは、起訴前の段階における右のような勾留およびその勾留中の捜査官の取調べの当否は、起訴後における勾留の効力に影響を及ぼさない。