一 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(平成五年政令第三八五号による改正前のもの)二条四号にいう「不要物」とは、自ら利用し又は他人に有償で譲渡することができないために事業者にとって不要となった物をいい、これに該当するか否かは、その物の性状、排出の状況、通常の取扱い形態、取引価値の有無及び事業者の意思等を総合的に勘案して決するのが相当である。 二 豆腐製造業者から処理料金を徴して、収集、運搬、処分した本件おからは、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(平成五年政令第三八五号による改正前のもの)二条四号にいう「不要物」に当たり、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(平成四年法律第一〇五号による改正前のもの)二条四項にいう「産業廃棄物」に該当する。
一 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(平成五年政令第三八五号による改正前のもの)二条四号にいう「不要物」の意義 二 おからが廃棄物の処理及び清掃に関する法律(平成四年法律第一〇五号による改正前のもの)二条四項にいう「産業廃棄物」に該当するとされた事例
廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(平成5年政令385号による改正前のもの)2条4号,廃棄物の処理及び清掃に関する法律(平成4年法律105号による改正前のもの)2条4項
判旨
廃棄物処理法上の「廃棄物(不要物)」とは、占有者が自ら利用し、又は他人に有償で譲渡することができない物をいい、その該当性は物の性状、排出状況、取引価値の有無、占有者の意思等を総合的に勘案して判断すべきである。
問題の所在(論点)
豆腐製造過程で副次的に生成される「おから」が、廃棄物処理法2条4項および同法施行令にいう「不要物」(産業廃棄物)に該当するか。
規範
廃棄物処理法における「不要物」とは、自ら利用し、又は他人に有償で譲渡することができないために事業者にとって不要になった物をいう。その該当性は、①物の性状、②排出の状況、③通常の取扱い形態、④取引価値の有無、⑤事業者の意思等を総合的に勘案して決すべきである(総合判断説)。
事件番号: 昭和57(あ)552 / 裁判年月日: 昭和60年2月22日 / 結論: 棄却
一 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令一条九号に掲げる産業廃棄物は、工作物の除去に伴つて生じたコンクリートの破片その他これに類するレンガ片、鉄筋片等の不燃物をいう。 二 家屋等の除去に伴い不要となつたいわゆる廃木材は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令一条九号に掲げる産業廃棄物に当たらない。
重要事実
被告人は、豆腐製造業者から排出される「おから」を収集・運搬して処分していた。当該おからは、豆腐製造の過程で大量に排出されるものであり、非常に腐敗しやすい性質を有していた。当時、一部は食用等として有償取引されていたものの、大部分は無償で引き渡されるか、有料で処理委託されている実態があった。被告人は、本件おからの処分に際して、豆腐製造業者から処理料金を徴収していた。
あてはめ
本件おからは、非常に腐敗しやすいという「性状」を有し、豆腐製造に伴い大量に排出される。取引価値について検討すると、大部分が無償譲渡または有料での処理委託に付されており、一般的な「取引価値」があるとは認めがたい。特に本件では、排出者である豆腐製造業者が被告人に対して「処理料金」を支払っていることから、排出者にとって自ら利用できず、他人に有償譲渡もできない「不要物」であるという「事業者の意思」および「排出状況」が認められる。
結論
本件おからは「不要物」に当たり、同法2条4項の「産業廃棄物」に該当する。
実務上の射程
行政法・環境法の分野において、廃棄物の定義を巡るリーディングケースである。特に、排出者が運搬者に代金を支払っている(逆鞘の状態)事実は、「取引価値の欠如」を推認させる強力な要素となる。答案上は、単に「いらないもの」と主観的に判断するのではなく、五つの客観的要素を網羅的に挙げてあてはめる必要がある。
事件番号: 平成17(あ)829 / 裁判年月日: 平成18年1月16日 / 結論: 棄却
廃棄物の処理及び清掃に関する法律(平成15年法律第93号による改正前のもの)25条4号にいう「第12条第3項(中略)の規定に違反して,産業廃棄物の処理を他人に委託した」とは,上記12条3項所定の者に自ら委託する場合以外の,当該処理を目的とするすべての委託行為をいう。
事件番号: 平成13(あ)817 / 裁判年月日: 平成14年7月15日 / 結論: 棄却
産業廃棄物の中間処分の許可しか受けていない会社の代表者が,当該会社の業務に関し,産業廃棄物約91.1tを産業廃棄物処理施設の斜面に放出し,その上に残土,真砂土を振りかけ,それらを混合し,地固めするなどして,原状に復するのが困難な状態にした行為は,産業廃棄物をもって上記斜面付近の地表及び地中の一部を形成する状態に至らせて…
事件番号: 平成16(あ)1683 / 裁判年月日: 平成18年2月20日 / 結論: 棄却
工場から排出された産業廃棄物を,同工場敷地内に掘られた穴に投入して埋め立てることを前提に,その穴のわきに野積みした行為(判文参照)は,廃棄物の処理及び清掃に関する法律16条違反の罪に当たる。
事件番号: 平成17(あ)1899 / 裁判年月日: 平成18年2月28日 / 結論: 棄却
一般廃棄物収集運搬行の許可を受けた業者が,一般廃棄物たるし尿を含む汚泥と産業廃棄物たる汚泥を混合させた廃棄物を,一般廃棄物と装って市のし尿処理施設の受入口から投入した行為は,その混合物全量について,廃棄物の処理及び清掃に関する法律16条違反の罪に当たる。