中学校の教師が、その立場を利用し、女子生徒に対し、性具の電動バイブレーターを示して自慰行為をするよう勧め、あるいは、これを手渡し、一緒に入っているこたつ又は布団の中でこれを使用して自慰行為をするに至らせた行為は、いずれも児童福祉法三四条一項六号にいう「児童に淫行をさせる行為」に当たる。
児童福祉法三四条一項六号にいう「児童に淫行をさせる行為」に当たるとされた事例
児童福祉法34条1項6号,児童福祉法60条1項
判旨
中学校教師が児童に対し、性具の使用方法を説明して自慰行為を勧めるなどし、同席する状況下で自慰行為を行わせた行為は、児童福祉法34条1項6号にいう「児童に淫行をさせる行為」に該当する。
問題の所在(論点)
児童福祉法34条1項6号の「児童に淫行をさせる行為」の意義。特に、教師が教え子に対し、自らの管理・関与下で自慰行為を行わせることが同号の禁止行為に該当するか。
規範
児童福祉法34条1項6号にいう「児童に淫行をさせる行為」とは、児童に対して性交、または性欲を刺激、興奮、もしくは満足させる性的な行為を行わせることをいう。行為者の立ち会い、教唆、場所の提供等の関与の態様や、児童との関係性を総合的に考慮して判断される。
重要事実
中学校教師である被告人は、その立場を利用して女子生徒に対し、電動バイブレーターを示して使用方法を説明した上で自慰行為を勧めた。さらに、同器具の使用を承知しながら手渡し、被告人と共にこたつに入った状態、あるいは同じベッドの布団の中にいる状況において、児童に同器具を用いた自慰行為を行わせた。
あてはめ
被告人は中学校教師という優越的立場を悪用し、性具の提示・説明・授与を通じて児童の性欲を不当に刺激している。また、被告人が同じこたつやベッドに同席するという密室的状況下で自慰行為を行わせており、これは単なる個人的な自慰の推奨に留まらず、被告人の直接的な支配・関与の下で児童を性的に奔放な行為に及ばせたものといえる。したがって、児童の健全な育成を阻害する「淫行をさせる行為」に当たると評価される。
結論
被告人の行為は、児童福祉法34条1項6号にいう「児童に淫行をさせる行為」に該当する。
実務上の射程
「淫行」の概念について、行為者自身が性交の当事者となる場合に限らず、場所や道具を提供して自慰行為を行わせる等の間接的な関与であっても、児童の性的な純潔や健全な育成を害する態様であれば本罪が成立することを示した点に意義がある。
事件番号: 平成26(あ)1546 / 裁判年月日: 平成28年6月21日 / 結論: 棄却
1 児童福祉法34条1項6号にいう「淫行」とは,児童の心身の健全な育成を阻害するおそれがあると認められる性交又はこれに準ずる性交類似行為をいい,児童を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような者を相手とする性交又はこれに準ずる性交類似行為は,これに含まれる。 2 児童福祉法34条1…
事件番号: 平成19(あ)619 / 裁判年月日: 平成21年10月21日 / 結論: 棄却
被害児童に性交又は性交類似行為をさせて撮影することをもって児童ポルノを製造した場合においては,児童福祉法34条1項6号違反の児童に淫行をさせる罪と児童買春・児童ポルノ等処罰法7条3項の児童ポルノ製造罪は,観念的競合の関係にはなく,併合罪の関係にある。