家庭裁判所は、事実調査のため、捜査機関に対し、補充捜査を促し、又は少年法一六条の規定に基づいて補充捜査を求めることができる。
家庭裁判所の捜査機関に対し補充捜査を促し又は求める権限
少年法8条,少年法16条,刑訴法189条2項,刑訴法191条1項
判旨
捜査機関は少年の被疑事件を家庭裁判所に送致した後も補充捜査が可能であり、家庭裁判所は捜査機関に対し、捜査権限の発動を促し、または少年法16条に基づき補充捜査を求めることができる。
問題の所在(論点)
少年事件が家庭裁判所に送致された後、捜査機関は依然として補充捜査を行う権限を有するか。また、家庭裁判所は事実調査の一環として捜査機関に補充捜査を求めることができるか。
規範
捜査機関は、少年の被疑事件を家庭裁判所に送致した後においても、必要に応じて補充捜査をすることができる。また、家庭裁判所は事実調査のため、捜査機関に対して自発的な捜査権限の発動を促すか、あるいは少年法16条の規定に基づき、嘱託として補充捜査を求めることができる。
重要事実
本件は、少年の被疑事件について家庭裁判所への送致が行われた後の捜査の適法性が争われた事案である。抗告人は、送致後の捜査には憲法違反や判例違反、法令違反等があると主張して抗告を申し立てた。判決文からは具体的な事件内容(犯行態様等)の詳細は不明であるが、送致後の捜査機関による捜査活動の可否が法的争点となった。
事件番号: 平成9(し)240 / 裁判年月日: 平成10年4月21日 / 結論: 棄却
少年が非行事実の存在を争っている保護事件において、家庭裁判所がその争点について少年法一六条に基づき捜査機関に援助協力を依頼して回答を得ながら、右回答の存在を附添人に了知させなかった措置は、妥当性を欠いたものであるが、右回答は附添人らがその内容を了知していた捜査書類を要約したものなどであって、証拠全体の中で重要な位置を占…
あてはめ
少年審判は非公開で行われ、家庭裁判所が全件送致主義の下で広範な調査権限を有するが、これは捜査機関の権限を直ちに排除するものではない。事実調査の充実を図る観点から、捜査機関が送致後も独自の権限として補充捜査を行うことは否定されず、家庭裁判所も少年法16条に基づきこれを活用できると解される。本件における捜査活動は、これらの権限行使の範囲内にあり、適法であると判断される。
結論
送致後の補充捜査は可能であり、本件抗告には少年法35条1項所定の抗告理由がないため、棄却される。
実務上の射程
送致後の捜査の可否に関するリーディングケースである。答案上では、送致後に新たな証拠が発見された場合や、家庭裁判所が事実認定のために追加の証拠収集を必要とする場面で、捜査機関の捜査権限の継続性と家裁の調査権を基礎づける論拠として活用する。ただし、少年の更生を目的とする少年法の趣旨に反するような、過度な強制捜査まで無制限に許容する趣旨ではない点に留意が必要である。
事件番号: 平成17(し)23 / 裁判年月日: 平成17年3月30日 / 結論: 棄却
1 少年保護事件の抗告裁判所による非行事実の認定に関する事実の取調べは,少年保護事件の抗告審としての性質を踏まえ,合理的な裁量により行われるべきである。 2 少年保護事件につき検察官のした抗告受理の申立てに基づく抗告審において,非行事実の認定に関し,家庭裁判所が検討していなかった共犯者のアリバイ供述等の信用性を検討しな…
事件番号: 平成22(し)145 / 裁判年月日: 平成23年12月19日 / 結論: 棄却
1 保護処分決定で認定された日には非行事実の存在が認められないが,これと異なる日に同一内容の非行事実が認められ,両事実が両立しない関係にあって事実の同一性が認められる場合には,少年法27条の2第2項により保護処分を取り消さなければならないときには当たらない。 2 保護処分取消し申立て事件において,事実の同一性のある範囲…
事件番号: 平成7(し)7 / 裁判年月日: 平成7年2月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】少年法27条の2第1項に基づく保護処分の取消しは、保護処分が継続中である場合に限り許され、処分終了後には認められない。同規定は少年を将来に向かって保護処分から解放することを目的とするものであり、少年の名誉回復を目的とするものではない。 第1 事案の概要:本件は、既に保護処分が終了した元少年が、保護…
事件番号: 昭和40(し)7 / 裁判年月日: 昭和40年6月21日 / 結論: 棄却
少年法第六条第三項により児童相談所長から事件送致を受けた家庭裁判所が、同法第一八条第二項により、少年の自由を制限し、またはその自由を奪うような強制的措置を指示してそお事件を児童相談所長に送致する旨の決定をした場合、これに対して抗告を申し立てることはできない。