規制薬物の譲渡を犯罪行為とする場合における「国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律」2条3項にいう「薬物犯罪の犯罪行為により得た財産」に係る同法11条1項1号の没収及び同法13条1項前段の追徴に当たっては,規制薬物の対価として得た財産から当該財産を得るために犯人が支出した費用等を控除すべきではない。
規制薬物の譲渡を犯罪行為とする場合における「国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律」2条3項にいう「薬物犯罪の犯罪行為により得た財産」に係る同法11条1項1号の没収及び同法13条1項前段の追徴に当たり取得費用等を控除することの可否
国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律2条3項,国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律11条1項1号,国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律13条1項
判旨
麻薬特例法2条3項にいう「薬物犯罪の犯罪行為により得た財産」とは、規制薬物の対価として得た財産そのものを指し、没収・追徴に際して仕入代金等の費用を控除することはできない。
問題の所在(論点)
麻薬特例法11条1項1号(没収)および13条1項前段(追徴)の対象となる、同法2条3項の「薬物犯罪の犯罪行為により得た財産」の範囲において、仕入費用等の経費を控除できるか。
規範
麻薬特例法2条3項に規定される「薬物犯罪の犯罪行為により得た財産」とは、規制薬物の譲渡の対価として得た財産そのものをいうと解される。したがって、同法11条1項1号による没収や同法13条1項前段による追徴の額を算定するにあたっては、当該財産を得るために犯人が支出した費用(仕入代金等)を控除すべきではない。
事件番号: 平成14(あ)827 / 裁判年月日: 平成15年10月28日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】麻薬特例法上の「薬物犯罪収益」とは、犯罪行為自体によって取得した財産を指し、犯罪遂行の過程で費消・使用するために共犯者から交付された財産はこれに含まれない。もっとも、犯罪遂行のために交付された現金や航空券のうち、残余分や未使用分については刑法19条1項2号の没収対象となり得る。 第1 事案の概要:…
重要事実
被告人が規制薬物を譲渡し、その対価を得た事案において、薬物犯罪の犯罪行為により得た財産の没収・追徴が問題となった。被告人側は、得た対価から薬物の仕入費用等の支出を控除した残額を対象とすべきである旨を主張して上告した。
あてはめ
麻薬特例法における没収・追徴の制度趣旨は、犯罪による不正な利益を剥奪し、薬物犯罪の経済的要因を根絶することにある。本件において、被告人が規制薬物を譲渡して得たのはその「対価そのもの」である。対価として得た財産をそのまま「犯罪行為により得た財産」と定義する以上、その取得に要した費用は犯罪遂行のためのコストに過ぎず、これを控除して実質的な利益を算出する必要はない。したがって、経費を差し引くことなく、売上全額を没収・追徴の対象とした原判断は正当である。
結論
薬物犯罪の対価として得た財産そのものが対象であり、支出した費用を控除することはできない。上告棄却。
実務上の射程
麻薬特例法における「不法収益」の概念は、純利益ではなく総収入(総売上)を基準とする「売上高主義」を採用していることを明示した判例である。答案上は、組織的犯罪処罰法等の他の剥奪規定においても同様の解釈がなされる際の基礎となる論理として、制度趣旨(経済的誘因の除去)と文言(対価として得た財産)をセットで示すべきである。
事件番号: 平成19(あ)1055 / 裁判年月日: 平成20年4月22日 / 結論: 棄却
薬物犯罪の正犯がその犯罪行為により薬物犯罪収益等を得た場合,当該犯罪行為を幇助したことを理由に幇助犯から当該薬物犯罪収益等を「国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律」11条1項,13条1項により正犯と同様に没収・追徴することはできず,幇助犯…
事件番号: 平成17(あ)660 / 裁判年月日: 平成17年10月12日 / 結論: 棄却
4回の覚せい剤譲渡の年月日,場所,相手,量,代金を記載した別表を添付した上,「被告人は,平成14年6月ころから平成16年3月4日までの間,営利の目的で,みだりに,別表記載のとおり覚せい剤を譲り渡すとともに,薬物犯罪を犯す意思をもって,多数回にわたり,大阪市内において,Aほか氏名不詳の多数人に対し,覚せい剤様の結晶を覚せ…
事件番号: 平成13(あ)1267 / 裁判年月日: 平成15年4月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】麻薬特例法上の「薬物犯罪の犯罪行為により得た財産」とは、薬物犯罪の構成要件に該当する行為自体によって犯人が取得した財産を指す。共犯者から犯罪遂行のための経費として交付された航空券等は、犯罪行為の用に供するための財産であって、不法収益には当たらない。 第1 事案の概要:被告人は覚せい剤密輸入の犯罪を…
事件番号: 平成13(あ)1683 / 裁判年月日: 平成15年4月11日 / 結論: 棄却
1 「国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律」(平成11年法律第136号による改正前のもの)2条3項にいう「薬物犯罪の犯罪行為により得た財産」とは,薬物犯罪の構成要件に該当する行為自体によって犯人が取得した財産をいう。 2 薬物犯罪を遂行す…