1 小型船舶の船籍及び総トン数の測度に関する政令(平成13年政令第383号による改正前のもの)8条の2の船籍簿は,刑法157条1項にいう「権利若しくは義務に関する公正証書の原本」に当たる。 2 小型船舶の船籍及び総トン数の測度に関する政令(平成13年政令第383号による改正前のもの)4条1項に基づく船籍票の内容虚偽の書換申請は,同令8条の2の船籍簿に関し,刑法157条1項にいう「虚偽の申立て」に当たる。
1 小型船舶の船籍及び総トン数の測度に関する政令(平成13年政令第383号による改正前のもの)8条の2の船籍簿と刑法157条1項にいう「権利若しくは義務に関する公正証書の原本」 2 小型船舶の船籍及び総トン数の測度に関する政令(平成13年政令第383号による改正前のもの)4条1項に基づく船籍票の内容虚偽の書換申請と刑法157条1項にいう「虚偽の申立て」
刑法157条1項,小型船舶の船籍及び総トン数の測度に関する政令(平成13年政令第383号による改正前のもの)1条,小型船舶の船籍及び総トン数の測度に関する政令(平成13年政令第383号による改正前のもの)2条,小型船舶の船籍及び総トン数の測度に関する政令(平成13年政令第383号による改正前のもの)4条,小型船舶の船籍及び総トン数の測度に関する政令(平成13年政令第383号による改正前のもの)8条の2
判旨
小型船舶の船籍簿は刑法157条1項の「権利若しくは義務に関する公正証書の原本」に当たり、新所有者と偽って内容虚偽の船籍票の書換申請を行うことは「虚偽の申立て」に当たる。
問題の所在(論点)
1. 小型船舶の「船籍簿」は、刑法157条1項にいう「権利若しくは義務に関する公正証書の原本」に当たるか。 2. 船籍票の書換申請を行うことは、同条項の「虚偽の申立て」に該当するか。
規範
1. 刑法157条1項の「権利若しくは義務に関する公正証書の原本」とは、公務員が職務上作成する文書のうち、権利・義務の発生、変更、消滅に関する事実を証明する公的な図書をいう。 2. 「虚偽の申立て」とは、公務員に対し、実体的な権利関係や事実に基づかない虚偽の事実を、公文書に記載させる目的で申し立てることをいう。特に、申請に基づく記載がそのまま公簿に反映される仕組みがある場合、その申請行為がこれに該当する。
事件番号: 昭和31(あ)2416 / 裁判年月日: 昭和35年1月11日 / 結論: 棄却
たとい不動産の真実の所有者であつても、登記簿上他人名義で登記されている不動産につき、その印鑑を保管しているのを奇貨としてこれを使用し、その承諾がないのに、該不動産を同人から自己に売却した旨の売渡証書を作成し、これを原因としかつ自ら作成した同人名義の委任状を利用し、自己に所有権の移転を受けた旨虚偽の登録申請をなし、登録原…
重要事実
被告人は、小型船舶の所有権に変動がないにもかかわらず、小型船舶の船籍及び総トン数の測度に関する政令(平成13年改正前)に基づき、新所有者であると偽って、内容虚偽の船籍票の書換申請を行った。この申請に基づき、公務員によって船籍簿に虚偽の事実が記載された。
あてはめ
1. 船籍簿は小型船舶の所有権等の権利関係を公証する機能を有することから、「権利若しくは義務に関する公正証書の原本」に当たると解される。 2. 小型船舶の船籍及び総トン数の測度に関する政令8条の2によれば、船籍票の記載内容がそのまま船籍簿に移記される仕組みとなっている。そうであれば、虚偽の船籍票の書換申請を行うことは、直接的に船籍簿の内容を改ざんさせる行為と同視できるため、「虚偽の申立て」に当たると評価できる。
結論
船籍簿は公正証書原本に該当し、新所有者を偽った書換申請は虚偽の申立てに当たるため、公正証書原本不実記載罪が成立する。
実務上の射程
本判決は小型船舶の船籍簿の法的性質を明示したものである。答案上は、不動産登記簿や商業登記簿以外の公簿について、当該公簿が権利義務に関わるか、及び申請と記載が直結しているか(準形式的審査権の有無)を判断する際の指標として活用できる。
事件番号: 昭和38(あ)2436 / 裁判年月日: 昭和39年6月2日 / 結論: 棄却
被告人は登記簿上の建物所有名義人甲との間に現実の売買の事実がないのに拘らず、売買契約が成立した旨虚偽の証書を作成し、売買を登記原因として所有権移転登記を申請し、その旨登記簿原本に記載させるなど原判示所為に出たものであるときは、たとえ、右建物の真実の所有者が被告人であり、甲が将来その登記名義を被告人に変更することを予め諒…
事件番号: 昭和41(あ)2069 / 裁判年月日: 昭和46年2月23日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】不動産の所有権移転につき、金融を得やすくする等の目的で、真実権利を移転する意思をもってなされた登記申請は、仮に売買を原因とする形式を採ったとしても公正証書原本不実記載罪における「不実の記録」には当たらない。権利移転の実体的な効果意思が認められる限り、虚偽の意思表示による不実の記載とはいえない。 第…
事件番号: 昭和52(あ)935 / 裁判年月日: 昭和52年9月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】仮装による所有権移転登記を公正証書原本不実記載罪(刑法157条1項)により処罰することは、真正なる公正証書の内容に対する公の信用を保護するためであり、憲法29条の財産権保障には違反しない。 第1 事案の概要:被告人が、実体上の所有権移転の合意がないにもかかわらず、通謀等により仮装の所有権移転登記を…
事件番号: 昭和63(あ)756 / 裁判年月日: 平成元年2月17日 / 結論: 棄却
不動産登記法三〇条、三一条に基づく官公署の登記の嘱託も、刑法一五七条一項にいう「申立」に当たる。