市立学校の教職員の評価・育成制度の下で教職員が作成した自己申告票中の設定目標,達成状況等に係る各欄に記載された情報及び校長が作成した評価・育成シート中の当該教職員の評価,育成方針等に係る各欄に記載された情報は,次の1〜3など判示の事情の下では,茨木市情報公開条例(平成15年茨木市条例第35号)7条6号柱書き所定の非公開情報である「公にすることにより,(中略)当該事務又は事業の性質上,当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの」及び同号エ所定の非公開情報である「人事管理に係る事務に関し,公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれ」があるものに当たる。 1 上記制度は,教職員による主体的な目標設定と達成状況等の点検及びこれを踏まえた校長による教職員に対する評価,指導等を通じて,教職員の意欲・資質能力の向上,組織の活性化等を図ることを目的とする。 2 上記自己申告票及び評価・育成シートは,上記制度を運用する過程で作成され,その写しが勤務成績評定権者である市教育委員会に送付されて,人事管理及び人事評価の資料として用いられる。 3 上記各欄には,作成者や関係者が特定できるような記載がされたり,教職員や評価者が外部に公開されることを望まないような記載がされることがある。
市立学校の教職員の評価・育成制度の下で教職員が作成した自己申告票中の設定目標,達成状況等に係る各欄に記載された情報及び校長が作成した評価・育成シート中の当該教職員の評価,育成方針等に係る各欄に記載された情報が,茨木市情報公開条例(平成15年茨木市条例第35号)7条6号柱書き及び同号エ所定の非公開情報に当たるとされた事例
茨木市情報公開条例(平成15年茨木市条例第35号)7条6号
判旨
教職員の評価・育成に関する自己申告票及び評価・育成シートの記載内容は、公開により作成者が率直な記載を控えるなどして人事評価システムの目的が損なわれ、適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるため、情報公開条例上の非公開情報に該当する。
問題の所在(論点)
教職員の自己申告票や校長による評価シートの各記載内容が、情報公開条例上の非公開事由である「人事管理に係る事務等の適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」がある情報に該当するか。
規範
情報公開条例における「人事管理に係る事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」の判断にあたっては、当該システムの導入目的、文書作成の過程、および公開が作成者の心理や記載内容の質に与える影響を考慮すべきである。作成者が第三者への公開を懸念して当たり障りのない記載に終始し、記載内容が形骸化する具体的な蓋然性がある場合には、非公開情報に該当する。
事件番号: 平成10(行ヒ)54 / 裁判年月日: 平成15年11月11日 / 結論: その他
1 法人その他の団体(国及び地方公共団体を除く。)の代表者に準ずる地位にある者以外の従業員の職務の遂行に関する情報は,その者の権限に基づく当該法人等のための契約の締結等に関する情報を除き,大阪市公文書公開条例(昭和63年大阪市条例第11号)6条2号にいう「個人に関する情報」に当たる。 2 法人その他の団体(国及び地方公…
重要事実
茨木市教育委員会が導入した「評価・育成システム」において、教職員が作成する「自己申告票」および校長が作成する「評価・育成シート」の公開が請求された。市教委は、これらが条例7条6号エ所定の「人事管理に係る事務に関し、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれ」があるとして非公開決定を行った。原審は、評価としての性格が弱い「次年度に向けた課題・育成方針」欄(本件公開請求部分3)については公開すべきとしたが、市側がこれを不服として上告した。
あてはめ
本件システムは、教職員の主体的な目標設定と校長による評価・指導を通じて、組織の活性化と教育活動の充実を図るものである。この目的達成には、教職員や校長が他者との摩擦を恐れず、自己の課題や所見を率直かつ具体的に記載することが不可欠である。しかし、これらが公開されることになれば、作成者が特定されることや、第三者への開示を嫌い、当たり障りのない記載しか行わなくなる結果、文書の内容が形骸化するおそれがある。これは、評価的性格が比較的弱いとされる育成方針等の記載部分であっても同様であり、システム全体の適正な運用を妨げ、ひいては公正・円滑な人事の確保に支障を及ぼすといえる。
結論
本件の各公開請求部分は、いずれも条例7条6号柱書き及び同号エ所定の非公開情報に該当するため、市教委の非公開決定は適法である。
実務上の射程
行政内部の自己評価や人事育成に関する文書について、開示によって内容が形骸化し、制度目的(組織活性化等)が達成できなくなるという論理は、広く他の行政組織の人事評価情報にも妥当し得る。答案上は、制度趣旨と「率直な記載の確保」の必要性を相関させて論じる際の規範として活用できる。
事件番号: 平成12(行ヒ)16 / 裁判年月日: 平成15年12月18日 / 結論: その他
1 広島県公文書公開条例(平成2年広島県条例第1号)9条2号にいう「個人に関する情報」は,個人の思想,信条,健康状態,所得,学歴,家族構成,住所等の私事に関する情報に限定されるものではなく,個人にかかわりのある情報であれば,原則としてこれに当たる。 2 法人(国及び地方公共団体その他の公共団体を除く。)その他の団体を代…
事件番号: 平成10(行ツ)167 / 裁判年月日: 平成15年11月11日 / 結論: 棄却
1 千葉県の職員の旅行命令票に記録された職員の給料表の種類並びに職務の級及び号給に関する情報は,千葉県公文書公開条例(昭和63年千葉県条例第3号)11条2号にいう「個人に関する情報」に当たる。 2 千葉県の職員の旅行命令票に千葉県公文書公開条例(昭和63年千葉県条例第3号)11条2号の非公開情報に当たる情報とこれに当た…
事件番号: 平成15(行ヒ)295 / 裁判年月日: 平成17年10月11日 / 結論: その他
1 土地開発公社が個人から買収した土地の買収価格に関する情報は,公有地の拡大の推進に関する法律(平成16年法律第66号による改正前のもの)7条の適用により,同価格が地価公示法(平成11年法律第160号による改正前のもの)6条の規定による公示価格を規準として算定されたなど判示の事実関係の下においては,旧奈良県情報公開条例…
事件番号: 平成12(行ヒ)334 / 裁判年月日: 平成15年11月21日 / 結論: その他
1 富山県の職員の出勤簿に記録された職員の採用年月日及び退職年月日を示す情報並びにその職員が特定の日に出勤し,又は出張したことを示す情報及びその職員が特定の日に職務専念義務の免除を受け,厚生事業に参加し,又は欠勤したことを示す情報で公務に従事しなかった個別的内容や具体的理由までが明らかになるものではないものは,旧富山県…